Z世代が使う「言葉の解像度」を上げる

前回、Z世代は「遊び」が足りないというお話をしました。
「遊び」とは一見、無駄に見える事ですが、今日は、その「遊び」がなぜ無くなったのか?
についてから、お話を始めたいと思います。

結論から言ってしまうと少子化の影響で子供達が「超過保護」に育てられたからだと私は思っています。つまり、自分で考え、解決するチャンスを親や学校が奪ってきたという事です。

別の言い方をすると親がいつまでも子離れできていないとも言えますし、子供達について言うと
精神的に自立できないまま青年期を迎えていると言えます。
典型的な例で言うと入社式です。最近は親が出席すると言うのが常識になっているようでこれは私の時代には考えられなかった事です。
更に言うと何処の会社に入るのか?についてのキャスティングボードさえも親が握っている状況なので会社側は採用内定者の親に内定承諾書をもらう「オヤカク」という手続きがマストになっています。
これは、「親の反対」によって内定辞退が増えているのが理由だそうです。

このように自分で考えなくても「親が考え、解決してくれる」ので子供たちは自分の人生について自分で考え、決断し、決断の責任は自分が取るという意識を持たなくなります。

さらに真偽は別として実際に自分で行動しなくても様々な情報がインターネットを通じて手に入るので自身の経験に裏打されていないもっともらしい情報に洗脳されてしまうのです。
「キャリア信仰」などはその最たるものです。

また、「少子化」によって売り手市場である事も彼らは当然分かっっていますので「周りが自分に合わせてくれる」のが当たり前と言う感覚で会社に乗り込んできます。
だから、厄介なのです。

では、そんな部下達をどのように育てたら良いか?と言う事ですが、まずやるべき事は以前お伝えした通り、「どうなりたいか?」を一緒に「言語化」できるまで深堀りしてあげる事だと思います。

一例をあげるなら、彼らが望んでいる「キャリアを積む」とは何か?と言う事を一緒に分解してあげる事です。
それは、一口にキャリアと言っても「何をもって」「キャリアを積む」という事になるのか明確に言語化されていないからです。
その証拠に「キャリアって何だと思う?」という質問を若手社員に問いかけてみてください。
恐らく、いや十中八九「なるほど!!」という答えは出てこないと思います。
いや、出てこないはずです。
なぜなら、それは彼らだけでなく私達が「答え」ではない「答え」を「答え」だと認識する習慣に
慣れているからです。

ややこしいですね。
簡単に言うと途中で考えるのをやめてしまっているのにそれに気づいていないという事です。

例えば「エンゲージメント」という言葉一つとっても「会社への帰属意識、貢献意欲でしょ」
というレベルで終わったら、エンゲージメントを向上させるために何をしたら良いか?は
本来明確になりません。

一口にエンゲージメントと言っても人によって、何がエンゲージメントに繋がるのかは一定ではありませんし、そもそも捉え方も違うはすです。

更に言うと会社の風土によっても違います。

したがって、すぐ処方箋を服用するのではなく、「うちの会社はこういう会社を目指すよ」という
軸を決めてから、どんな「エンゲージメント」を目指すのか?の「定義」を決め、構成する様々な「要素」を洗い出して、「優先順位」を決め、「最大公約数」的な所から取り組みを始めていかないと「エンゲージメント」形成には繋がらないのです。

単純に一般書籍に書いてあるような「仕事以外で付き合う機会が必要」「フラットなコミュニケーションが良い」などをそのまま鵜呑みにして

・BBQでも企画するか?
・言いたい事をつぶやけるアプリを入れるか?
・1on1やるか?
など

「こんな感じかな?」というおぼろげな仮説によって、取り組みを行なっても対処法的な取り組みでしかなく効果は薄くなってしまいます。

これについては長くなってしまうので別の機会にお話ししたいと思いますが、まずは「こうだよね」で何となく認識している言葉の解像度を上げる必要があります。
その中から、取り組みを考えていった方がはるかに、有効な取り組みになるからです。

話を「キャリア」に戻すと「キャリア」と言う事に対し、恐らく、彼らが望んでいるのは「この先、生きてゆく上で困らないような知識やスキル、経験を積む事」を指しているのではないかと思います。
端的に言うと自分の「価値」を上げてゆきたいという事です。
「価値」とは何か?と言うと一言で言うと「変化を起こす力」です。

例えば、大谷翔平の価値はチームにとっては、

彼が居る事で
「勝率が上がる」「他の選手に対し、良いお手本として刺激になる」「メディアの注目が集まる」
「スポンサーが増える」「ファンが増える」などでしょうし、広告媒体からすると「雑誌の販売数が増える」「視聴率が上がる」「CMスポンサーが増える」など、世間にとっては「元気がもらえる」「自分も頑張ろうという気持ちになる」「楽しみが増える」「野球小僧が増える」などの変化です。

このように人の価値は、その人が居る事でいない時と比べて何かしら、「良い変化」が起こる
事によって、認識されます。
こうして「キャリア」を「自分の価値を築く事」であると認識するならば、若手が見失っている事があります。

それは価値が「他者目線」で築かれるという事です。
つまり、周囲の人にどれだけ良い影響を与えられるか?と言う視点です。

言い方を変えると少なからず、周囲の人に良い影響を与えられないと「キャリアを積んだことには
ならないよ」と言っても良いと思います。

であれば、若手が「キャリアを積む」為に必要な事が見えてくるはずです。

価値向上を考える上で参考になるものに「成人発達理論」という考え方があります。
これは、人間の成長には「水平的成長」と「垂直的成長」の2軸があると言う考え方で水平的成長は知識やスキルを高める「量的」な成長をさし、垂直的成長は人としての器の拡大や人間性を深める「質的」な成長を意味します。

すごく、説得力がある考え方なので私は研修でも良く引用しています。

価値創造について考えると「量的」「質的」という二つの成長に向けて行動を起こしてゆく事とも言えるので「君が考えるキャリアは量的成長に偏っているんじゃない?」「成長には質的成長も必要なんだよ」と言う事を教えてあげれば良いわけです。

なぜなら、「困ったちゃん達」に欠けているのは質的成長の認識だからです。

分かりやすい例をPCで考えてみると量的成長は「アプリ」に該当し、質的成長は「OS」です。

つまり、PCはアプリばかり、新しいものをインストールしてもOSを更新していかなければ、上手く作動しません。

これと同じように「キャリア」もひたすら、知識やスキルを磨くという視点だけで捉えると本当の意味で人生を助けるキャリアにはならないと言う事です。

具体的に若手が身に付けるべき質的成長は

・自分の「モノの見方」だけでなく他者の「モノの見方」に目を向ける事
・周囲に協力し、助ける事
・自分から仕事を取りに行く姿勢
・失敗しても前を向いてゆくメンタル
・嫌な事も率先して引き受ける姿勢
・明るく、元気に挨拶できる事
・「ありがとうございます」をたくさん言える事
・積極的に学ぼうという姿勢
・自分の時間を使って勉強する事
・一見無駄だと思う仕事に「意味」を見いだす事
・・・・・・・
などです。

いずれにしてもこれらを彼らに伝える為にはかなり「言葉の量」が必要になります。

なぜなのか?についてはですが、それはある「理由」があります。
それを説明する上で「ヒット曲」と関連した非常に面白いお話がありますのでまた、改めてお話しします。

受身組織を改革する方法<2>NG疑問文を使わない

受け身組織を改革する方法の第二弾は「NG疑問文を使わない」です。

私達が日常使う言葉の中には「疑問文」のような形式を取っているが、意味合いは「相手を責める」ようなものが多くあります。

このようなワードを多用すると部下の自主性や主体性が育たないばかりか、メンタルを破壊してしまう恐れがあります。

なぜなら、部下が受け身になっている理由の多くは「怒られたくない」「否定されたくない」といネガティブな深層心理が働き、「余計な事はしないで言われたことだけ何とかこなそう」と考えるからです。

では、どうしてこのような心理を持っているのか?というと過去の人生において「人格を否定」されるような言葉を投げかけられた経験が少なからずあり、これがトラウマのようになっている可能性があります。

したがって、上司が自分をどのように見ているのかという事に対して部下は、とても「敏感」であり、上司は部下と接する時にどのような言葉を使うのかについては注意が必要です。

今回は上司として部下に言ってはいけないNG疑問文と「毒にならない」言い換え方をいくつかご紹介したいと思います。

【1】こんな事もわからないの?(できないの?)

これは言外に「お前は使えないやつだな」と言っているに等しいのでNG度は最悪ランクです。
これを言う事で部下が「奮起する事」も「改善する事」もなく、上司が部下に対し文句を言っているだけなので関係性は悪化、下手したら恨まれるようになり、「害」しかありません。

お勧めの言い換え方➡何かわからない事があったの?できなかった理由は何なの?

【2】なんで~なの?(なんでこうしたの、なんでできないの?なんでわからないの?など)

英訳すると「WHY」なので一見相手に何を尋ねる文章のようで実際は「叱責」のニュアンスが強い言い方です。
こういう言い方は部下を追い詰め、「メンタル破壊」にも繋がる危険性があるのでNG度は同じく最悪ランクです。まさに「猛毒」ワードです。

お勧めの言い換え方➡こういう風にした理由は?できなかった理由は何かあるのかな?どこがわからないの?

【3】何やってんの?

これも良く日常で登場する「ワード」です。期待した通りに部下がやらなかった時に良く口から出てくるワードです。これも相手を強く責めるワードで職場だけでなく、家庭でもよく使いがちなNGワードです。私も結構子供に対し、言ってしまってるかもしれません。反省反省。

お勧めの言い方➡おっ、どうしたんだ?あれ、正しく伝わらなかったかな?

【4】何回説明すればいいの?

同じ間違いを繰り返してしまう部下に言いがちな言葉です。これも「お前は〇鹿なの」と言っているのと同じであり、相手に与えるダメージは強いワードです。

お勧めの言い方➡また、間違っているよ。わからないのはどこかな?

【5】どうすんの?

ミスや未達成の事柄に対し、対応を求める場合によく使うワードです。追い詰める要素が大きく、改善よりも精神的に追い込む要素が強くなります。

お勧めの言い方➡どうやって対応する?どうやって取り返そうか?

一見疑問文だけれど、相手を攻撃してしまう要素のあるワードを見てきました。

お気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、NG疑問文の方は「お前は」という主語が隠れているのに対し、お勧めワードの方は、「こと」や「行動」にスポットが当たっています。

上司が部下と話すのは本来「成長」を促し、「成果」に結び付けてもらう為です。
話す前に「目的は何か?」を考え、一時の「怒りの感情」をぶつけるだけにならないように注意しましょう。

仮に怒ったところで一時的に部下の行動が変わったとしても「怖いから」と言う理由で動いただけで成長には決して繋がらないからです。

今まで私が多くの管理職の方と接してきてわかった事は、部下が自分の思ったように動かない,期待通り成長しない理由の多くは「部下」にあるのではなく、上司の「あり方」「話し方」「聴き方」「接し方」にあるという事です。

良かったら、自分が使いがちなNG疑問文を洗い出し、「部下の行動を変える」「成長を促す」言い方に変えてみましょう。

もしかしたら、最初は、ぎこちなくなってしまうかもしれませんが「コミュニケーション」は筋肉運動と同じで繰り返し使う事で上手くなります。

言い方を変えるだけで部下の心理が「怒られたくない」「否定されたくない」から「認められたい」「評価されたい」に変ったら、こんな良い話はないと思いませんか?

受身組織を改革する方法<1>

先日ある組織コンサルの社長とお話しする機会がありました。

その社長は素晴らしい方で、生まれながらに障害を持ったお子さんのために経営者になった方です。

経営者の方が時間もお金も自由になると考えたそうです。

凄いと思ったのは、その方がコンサルの対象にしているのは「自分が変わらなければならないと感じていらっしゃる社長」さんだけ。

そう言う方しかクライアントにしないという方針だそうです。

そうやって、自分のストライクゾーンを決めて、経営をしているところは純粋に凄いと思います。

なぜなら、決めるという事は「捨てる」という事とセットなので、勇気と覚悟がいるからです。

確かに自分から変わろうと考えている方がトップであったら、会社を改善するのはそう難しい事ではないかもしれないなと思いますし、そう言う社長さんが増えて行って欲しいと心から願っています。

ただ、その社長と話をしているうちにある事を思い出しました。

それはコーチングを学び始めた頃に先輩達から言われた事です。

「コーチングは万能ではない。コーチャブルな人じゃない人にコーチングしようとしてはいけないよ。効果ないから」という事です。

その時は、何の疑問も持たなかったのですが、組織育成やリーダー育成などで企業と関わってゆくうちにだんだん疑問を持つようになりました。

コーチャブルな人というのは、目的、目標を持って自ら行動する意思のある方を言いますが、「そんな人どれだけいるのよ?」と思ったわけです。

だったら、言われた事、やらなければならない事を、忠実に、真面目にやる事が何より大切であると思っている方が圧倒的に多く存在するであろう日本という国で、コーチングは役に立たないのではないか?そんなふうに思った事もあります。

でも、同時に浮かんだのが、日本人に合う形のコーチングがあるのではないか?という思いです。

日本人は、古くは大陸から、近代は欧米から伝わってきたものを日本人に合った形にカスタマイズして発展してきました。

だから「日本人に、日本という国に合ったコーチングも創れるはずだ」と思い、その時から答え探しを続けてきました。

そして、なんとか朧げながら、その答えが見えてきているので、それを何回かに分けて、お話ししてゆきたいと思います。

題して「受身組織を改革するコーチング」です。

通常のコーチングと何が違うの?と思われるかもしれませんが、本当の意味でコーチングが機能するようにする為には、主体性を育てる前段階が必要だと思っています。

先ほどの表現を使うとすると「アンコーチャブル」な人を「コーチャブル」に進化させてゆくという事です。

もっと端的に言えば、受け身の人を、閉じ籠っている「殻」から引き摺り出し、自分の意思で進むようにする為のアプローチです。

第一回目の今日は「誰にも意見はある」です。

どんなに受け身の人であっても、与えられた業務の中で「これって、無駄が多いな」「なんでこういうやり方なのだろう?」と疑問に思う事や、何か改善のアイデアや気づきを得る事があります。

ただ、長年の習慣から、気づきや意見を必要のない事として、心の奥底に押し込めてしまうのです。

大した事じゃないし、言ったところで自分の意見なんか取り入れて貰えるはずがない、場合によっては馬鹿にされるかもしれないと決めつけて、自我を捨てているだけです。

もし「そんなはずはない。あいつに意見なんか…」と思ったら、聞いてみてください。

「君にやってもらっている業務なんだけど、より皆から喜ばれるようにするにはどうしたら良いだろう?小さな事でも良いから、二つ考えてみて!」と。

この質問には工夫が三つあります。

一つは「皆から喜ばれるようにするには」です。

人にはいろんなタイプがいて、自分でモチベーションをコントロールできる人もいれば、他人に感謝される事がモチベーションになる人もいます。

基本的に受け身の人は後者が多く、感謝される事を最大のモチベーションにしている方も多いのです。

したがって「皆から喜ばれるように」という目的は、受け身の相手に「やってみよう」という気を起こさせるキーワードなのです。

二つ目は「小さな事でも良いから」です。

上から意見を出せと言われると「ちゃんとしたものを出さなきゃ」と思い、思考や行動にブレーキがかかってしまいます。

だから「小さな事でも良いから」の一言があるとハードルが下がって、考えやすくなるのです。

三つ目は「二つ考えて」という言葉です。

「何か考えてみて」「なんかない?」という指示を出す事は日常でよくありがちではないかと思いますが、言われた方としては、指示が抽象的で働きかけとしては弱く、始動しにくいものです。

だから「二つ」という言葉をセットにして依頼する事で、指示の具体度が高まり、具体的に動きやすくなります。

ちょっとした言葉の違いで人の心は動くもの。

試していただけると嬉しいです。

それから、もう一つ大切な事をお伝えします。

結果として出てきた答えが、あなたからしたら「そんなのは試したよ」とか「そんな事か?」と思うようなレベルのものかもしれません。

でも、その人なりに考え、答えを出したという事が大きいのです。

この一歩を次に繋げるためにも「ありがとう」の言葉で応えてあげて欲しいです。

さらにその後、その意見をどう扱ったのかについても必ず伝えてください。

仮に不採用の場合でも否定する事なく、次へのヒントを出して、さらに考えるように促してください。

人は自分が期待されていると感じたら、必ず期待に応えたいと思い、動くものです。

私の経験上、低評価だった人が、上司の関わり方が変わった事で変容した例は数多くあります。

受け身を変えるには期待して働きかける事から!

放置するのは、その人を軽んじているというメッセージを送っているのと同じである事を忘れないでいただきたいです。

サッカー日本代表「ベスト8」に向けて犯した2つのミス

サッカーワ-ルドカップがいよいよ佳境に差し掛かってきました。

わが日本代表は「ベスト8」の目標を掲げてのチャレンジでしたが、残念ながら、またしても悲願達成はなりませんでした。

強豪ドイツとスペインを倒したことは奇跡のような出来事であり、賞賛以外の言葉はありませんが、ここまできたら、やはり、「壁」を突破して欲しかったし、間違いなく「できたはず」ではないか?と思っています。

私はサッカーについては素人なので技術や戦術的な事はわかりませんが、「人の心理」という目線で考えると、ほんの少しアプローチを変えるだけでクロアチアには勝てたと思っています。

理由は2つあります。

一つ目は目標設定の仕方です。

脳科学的には「目標」の設定によって勝敗が分かれるという事は良く言われていて、代表的なのは「水泳日本チーム」にコーチとして帯同した林さんという脳科学者が、パフォーマンス向上のために行ったゴール設定の仕方です。

通常水泳は「壁にタッチ」することがゴールになるわけですが、ゴールを目の前にすると「人の心理状態」は変化し、「力んだり」「緊張したり」でパフォーマンスが落ちるという事がわかっていました。

野球でも勝利がかかった最終回で「ここを抑えれば勝てる」と言う意識が強くなりすぎた投手が四球連発で崩れる場面がよく見られるのも目の前に「ゴール」が迫ってきて必要以上に「緊張したり」「力んだり」するからです。

それで林さんがまず行ったのが、ゴールの設定を変えるという事だったのです。

最近、水泳競技をTVでご覧になった方はお気づきかもしれませんが、選手たちは壁にタッチしてから、一様にある行動をとっています。

それは振り返り、「掲示板のタイムを見る」という事です。

つまり、ゴール設定を「壁にタッチ」ではなく、「タイムを確認する」にしたのです。

これによって、実際にコンマ何秒のタイムが向上が見られたそうです。

人は誰しも、ゴールが目の前に迫ってくると緊張したり、力んだりする。

その心理を利用して「ゴール設定」を変えたのでした。

サッカー日本代表に話を戻すと、ペナルティキックの結果如何で目標としていた「ベスト8」に進めるかどうかが決まる、痺れるような場面では、選手たちに相当なプレッシャーがかかったことは容易に想像がつき、パフォーマンスが落ちるのは当然の事だと思われます。

では、どうすれば良かったか?という事ですが、決勝トーナメントに進出が決まった段階でゴールを「ベスト8」ではなく、「優勝」に軌道修正するか、韓国が作ったアジア記録である「ベスト4」にすれば、良かったと思います。

そうすれば、「ベスト8」はたどり着きたいゴールではなくプロセスなので、「こんなところで負けるわけにはいかない」という強い気持ちを持ってPK合戦に臨めたのではないか?と思います。

実際に今回、決勝トーナメントに進出できたのは「ベスト16」を「目標」とするのではなく、「通過点」にしたことも大きな要因であったと考えられるからです。

とは言え、決勝トーナメントで一度も勝ったことがないチームがベスト4や優勝を掲げるには勇気と根拠が必要なので致し方ない面もあったと思いますし、ドイツやスペインと同じ組になった段階で「本音」のゴールは「ベスト16」だったのではないか?と私は思っています。

だから、決勝トーナメント敗退でもサッカー協会的にはOKだったのでしょう。

あと、もう一つ変えるべき事は「PKの順番の決め方」です。

「挙手」で順番を決めたそうですが、「一番目に蹴りたい人?」と選手たちに聞いても5秒くらい誰も手を挙げなかったそうです。

この場面での「5秒」って結構長いですよ。

実は、この段階で「勝負あり」だったと私は思っています。

つまり、PK合戦を想定した準備ができていなかったという事です。

それで、仕方なく?「南野選手」が手を挙げたわけですが、緊張で気持ちが弱くなっていた時に相当なプレッシャーに中で蹴ったボールが止められたとしても誰も彼を責める事は出来ません。

選手たちの自発性を大切にしたのかもしれませんが、一方で責任を「選手達」に委ねたという見方もできます。

「本田圭佑」のような人が居れば、また違ったかもしれませんが、ここは、監督が順番を決め、「これで行く。責任は俺が持つ。思いっきり蹴ってこい‼」と送り出してあげたら、もしかして、結果が変わっていたのではないか?と思っています。

監督と選手たちの関係性が良かったようなので、一層そう思えてなりません。

まぁ、結果論ではありますが、このように勝負の綾は、ちょっとしたことで揺れ動きます。

日本のスポーツにも以前よりは、メンタルトレーニングやコーチングが導入されてきていると思いますが、世界に打ち勝つには、正直、まだまだ不十分なのかもしれませんね。

ところで、リーダーシップの形は、トップダウンではなく、メンバーの主体性を活かすスタイルが良いとされているのが、最近の風潮であり、私もそこを目指して「人材育成」を行っているわけですが、今回の森保監督の采配を見ているとここぞという場面では、トップダウンも必要ではないかと思います。

平常時は、部下たちのコミュニケーションを活性化させ、主体性をどんどん引き出して行く事が大切ですが、誰も手を挙げたがらない、あるいは膠着する、議論が停滞するような場面においては、上司が決めなくてはいけない。

大切なのは、状況によって使い分ける事です。

そのためには、メンバーを観察し、感情を敏感に感じ取り、出し入れができる能力が必要です。

今回のサッカー日本代表の姿を見て、改めて、今に時代に合ったリーダー像が明確になったような気がしますし、私自身もコーチとしての研鑽を積んでゆきたいと改めて思いました。

さて、スポーツにおける次の楽しみは、来年3月開催のワールドベースボールクラシック(WBC)。

どんなドラマとチームマネジメントが見られるのか?
今から楽しみです。

日本人に合ったコーチングを創る⑤

自己効力感を向上させるスモールステップ

 今日は「部下の自己効力感を向上させるスモールステップ」について考えてみたいと思います。

自己効力感は、簡単に言うと「自分が掲げた目標を達成できる」と信じられるようになる事です。

そのためには「目標達成に繋がる行動」を自分と約束し、守ってゆく事が大切です。

その際、注意を払うべきは行動目標の設定の仕方です。

なぜなら、あまり極端に新しい行動を始めると、必ずと言っても良い程「長続き」しないからです。

例えば、リーダーの関わりによって、部下が見違えるようにやる気になる事がありますが、そのままの意気込みで「行動目標」を設定すると、つい「盛りだくさん」で「達成難易度が高い」目標を設定しようとする場合がよく見られます。

やる気になるのは良い事ですが、最初からハードルを上げると「ガス欠」になって続かなくなるのです。

「三日坊主」という言葉があるように、新しい行動を「継続する」のは難しくて当たり前。

なので、三日坊主にならない様に行動の目標を設定する必要があります。

では、どのように考えたらよいかですが、「ジョギング」を例にして考えてみましょう。

一番うまくいかないパターンが「いきなり早起きして、ジョギングを開始する」と言うものです。

数日間は、続けられるかもしれませんが、大きく生活習慣が変わるような行動を始めるのはあまりお勧めしません。

なぜなら、私たちの脳には「変化を嫌い、安定を好む」と言う習性があるため、新しく始めた行動をやめさせようとするからです。

したがって、いきなり早起きして走り始めるのではなく、脳がはっきりと認識できないように少しづつ変化を起こしてゆく必要があります。

例えば、以下のようなプロセスで進めるのがおすすめです。

  1. いつもより30分早く起きる事を2週間続ける。
  2. もう30分早く起きる事を2週間続ける。
  3. 散歩から始め、2週間続ける。
  4. 散歩の中で苦痛に感じない距離だけ走り、残りは歩く。これも2週間続ける。
  5. 走る距離を少しづつ延ばしてゆく。
  6. 全部ジョギングしてみる。

と言うように段階を踏むのです。

そうすれば、「脳の停止命令」を発動させる事なく、ジョギングを習慣化できます。

業務で部下と行動目標を設定する際にも同様のアプローチが有効です。

例えば、ITの技術者の例で言うと、資格取得と言うのが「部下の目標」の一つであるとすると、いきなり「毎日2時間勉強する」という行動計画を設定するのではなく、最初の2週間は15分間集中して勉強をする。

次の2週間は30分、次は・・・というように段階を踏んで伸ばしてゆくと無理なく、学習を続ける事が出来るようになります。

大切なのは「やる気」から始まる行動をいかに「続けられる」ようにしてあげるか?です。

そのためには「欲張らない」「急ぎすぎない」が大切です。

いかがだったでしょうか?

今日は自己効力感についてお話ししました。

それから、大切な事を言い忘れましたが、部下と目標を決め、行動計画を設定する時には、なぜ、行動計画のハードルを段階的に上げていった方が良いのか?の理由を説明してから、取り組んでください。

納得した上で取り組んでもらう事が大切だからです。

次回は「小さな成長に目を向ける」について考えてみたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る③

前回は「自信」を育てるために「自己肯定感(自分の存在価値を認める)」を向上させる必要性と育て方についてお話をしました。

今日は「自信」のもう一つの要素である自己効力感について考えてみたいと思います。

自己効力感を向上させる

自己効力感は「自分が成し遂げたいと思う事をやれる力がある」と信じられる事です。

この「自己効力感」を獲得できるようにするためには、「描く」力とそして「描いたものを」具体的にする事、そして行動力、継続力が重要にあります。

なので、上司としては部下に以下のような視点で関わってゆく事が大切です。

  1. 目的、理由の深堀り
  2. 目標の具体的明確化
  3. スモールステップ
  4. アクションプランの具体化
  5. 成長(小さな変化)に目を向ける

今日は「1.目的、理由の深堀り」について、考えてみましょう。

まずは何と言っても、ここが「肝」になります。

なぜなら、私たちは日常の業務をこなす中で「目的」「理由」よりも「早く着手する事」や目の前の「目標」に関心を置くことが多いからです。

したがって、「そもそもなんで?」という事に関して考える事に慣れていません。

しかし、ここが「甘い」と全てがズレてきて部下の行動が「止まる」ったり、パフォーマンスが落ちる原因になります。

なぜなら、「目標」ばかりに焦点が当たると、それが延々と続くことによって、次第に「義務感」や「強制感」ばかり感じるようになるからです。

「目的や理由」を深堀するのは、部下にとって新しい取り組みが「自分事」といて捉えてもらう為です。

価値観まで堀さげる

では、どこまで掘り下げるのか?という事ですが、部下の持っている「価値観」にたどり着く事が重要です。

「価値観」はその人が大切にしている「考え方」や、何かを決める時の「判断基準」になるものです。

簡単に言うと「良い、悪い」「好き、嫌い」「やる、やらない」を決めているその人なりの「考え方」ですが、今回扱うのは「理想像を描く」上で基準となる「価値観」で「こうありたい」「こうなりたい」の根拠となるものです。

この会社、仕事を通じてどうなりたい?どうありたい?を言語化できると、期限を決めた「目標設定」がしやすくなります。

後は、「価値観」探求をどうやってやるかですが、その人の過去にヒントがあるので、昔の事を「聴きだして」みてください。

ただし、過去の出来事は膨大であり、沢山時間が必要です。

なので、比較的、仕事の中で活きる価値観を聴きだすためには、リアル、二次元問わず、「影響を受けた人」に焦点を当てて質問すると「理想像」が描きやすくなります。

例えば、

  • 今まで出会った人の中で尊敬する人はどういう人?なんで?
  • 好きな歴史上の人物、有名人は?なんで?どういう所が好き?
  • 過去出会った中であこがれた人は?なんで?
  • 先生、先輩や上司で影響を受けた人は?なんで?
  • 好きなアニメのキャラクターは?なんで?

こういう質問を部下に投げてみてください。

そうすると部下自身も「自分が理想とする人物像」を描きやすくなりますし、「なぜそう思うのか?」という価値観も見えてきます。

まずは、「習うより慣れろ」という事で、最初から上手くいかないかもしれませんが、「なんでそう思うの?」と部下が言う事に関心を持って聴きだしてください。

もしかしたら、意外な発見があるかもしれません。

次回は②目標の具体化についてお話しします。

日本人に合ったコーチングを創る②

「自信を分解する・・・自己肯定感と自己効力感の育成から始めるコーチング」

前回は「日本人に合ったコーチング」を創るために「自信」を育てる事から始める必要があるというお話をしました。

今回はその続きになります。

まずは「自信」についてですが、自信は「自分で獲得する」と言うのが一般的な考えではないかと思います。

しかし、一方で自分で獲得する事が「難しい」人も多く存在するのも事実です。

特に人の目を気にし、「比較する、される」機会が多かった日本人にはその傾向が強いように感じます。

自信を育てる話の前に「自信とは何か?」を明確に理解する必要がありますが、辞書等によると自信とは「自分の能力・価値や自分の言行の正しさなどをみずから信じること。また、その気持ち。」とあります。

つまり、自信のない人とは、どう人なのか?と言うと「自分に価値や能力がない」と思っており、「自分の言葉を信じられない」人という事になります。

言い換えると、「自己肯定感」や「自己効力感」が低い人達であると言えます。

「自己肯定感」とは「自分を存在価値がある人間」であると感じる事であり、「自己効力感」は「自分はやろうと思ったことがやれる」人であると感じる事です。

この二つが低いと「自信がない」と言う認識になるわけです。

したがって、対象となる相手の自信をつけるには「自己肯定感」や「自己効力感」を高めてゆく事を意識しながら、関わってゆく必要があります。

自己肯定感、自己効力感を育てるコーチング

まず、今日は自己肯定感を高めるアプローチについて考えたいと思います。

自己肯定感を高めるには「自分の存在」が他者に良い影響を及ぼしている事を認識させる事が必要です。

その人の持つ長所や強みを「素直に」理解させることです。

良く研修で「自分の長所と強みを20個挙げて」という課題を出すことがあるのですが、残念ながら、20個書ける方はほとんどいません。

これは長い間「謙虚と卑下」を混同してきた結果と言っても良いのですが、褒められることに「素直になれない」私達の反応に原因があります。

私たちは褒められると良く「大したことない」「そんなことない」と言う言葉を発し、「いい気にならないよう」「調子に乗らないよう」戒めてきました。

しかし、見方を変えると「自分を否定する」言葉をを長い事自分に吐き続けてきたとも言えます。

結果、「自分は大したことない」と刷り込ませてきたわけです。

本当はそんなはずはないのに「自分に対する評価」が低くなってしまうのです。

私は「本心から自分を駄目だと思いたい」人はいないと思っています。

なので、自己肯定感を育てるにはこの呪縛から、解く必要があります。

では、具体的にどうしたら良いか?という事ですが、経験上、有効なアプローチの一つに「過去への旅」があります。

具体的に言うと「自分史」を書くという事。

私はクライアントとコーチングを始める際に「自分史」の交換からスタートします。

これには三つの狙いがあります。

一つ目は、私が先生ではないという認識を持ってもらう為であり、自分の価値観がなぜ、どのように形成されたのかを知ってもらう為です。

「自分史」は自分の偉大さや華やかな経歴だけを書くのではなく、むしろ、逆にある「苦しみ」「悲しみ」「挫折」等を洗いざらい、自分の記憶がある範囲で書き出すことが大切です。

なぜなら、「現在の価値観」が形成された原因となる出来事が「そこには」あるからです。

出来事を「乗り越えるために」自分なりの解釈をして私たちは生きてきました。

この解釈は、生きてゆく上で「自分を納得させる」為に必要なものでしたが、ある意味、「自己肯定感」「自己効力感」が低い原因にもなっている可能性があります。

したがって「自分史」を交換する事でコーチは上にいるのではなく、同じように悩み、苦しみ生きてきた人間である事を洗いざらい見てもらい、また「私の自分史」を手本にして素直に自分を振り返ってもらう事で自分の価値観が形成されたプロセスに目を向けてもらうのです。

更に言うと、今はあなたを応援するために「横にいる」のだという事を分かってもらい、自分から「腹を割って付き合う覚悟があるよ」と言う姿勢を見せる事で、相手が自分の事を話しやすい環境を創るためです。

二つ目の狙いは、自分に少なからず自信があった時、自信を持つことができた出来事、経験を思い出してもらう為です。

大きな出来事でなくても、周囲の人から「受け取った言葉」の中に自分の価値を表す「言葉」があるはずで、それを記憶の中から「発掘」し、「埃を掃って」再び、光を当ててもらいます。

そうすると「そういえば、こんな言葉をもらったなぁ」「こんな風に言われてたな」「このころはこうだったな」と自分の価値を感じていた自分を思い出せるのです。

その上で改めて「長所と強み」を書き出してもらうと、今まで書けなかった、忘れていた自分の長所や強みに目を向ける事が出来ます。

今、もしかしたら「自覚」できていなくても過去に発揮した長所や強みは、その人が本来持っているものであり、これから、自分を取り戻す上で「資源」になります。

こうして、まずは自分の存在価値に目を向けてもらい、「素直に」「正当に」自分を評価をしてもらう事からスタートすると「自己効力感」である「やろうと思ったことがやれる」にシフトしやすくなります。

また、書き出した「長所」や「強み」はいつでも、見れる状態にしておくとさらに良いと思います。

人の感情は一定ではありませんから、いつしか。ダークサイドに落ちた時に「戻れる場所」を作っておけば、深く沈むことはなくなります。

そして、三つ目の狙いは、いろんなことがあって、今まで生き抜いてきた自分を認めてもらう為です。

今まで多くの人と「自分史」交換をいたしましたが、平々凡々、平坦な人生を送ってきた人はおらず、ギャップが大きいか小さいかは別として山あり、谷ありの人生を皆潜り抜けて、今日を迎えています。

このことは、当たり前のようで実はすごい事なのです。

私の古い友人の中にも若くして、自らの人生に幕を下ろした人たちがいます。

まずは、純粋に今日まで「がんばってきた自分」を認める事から始めて欲しいと、いつも、クライアントには伝えています。

今日は「自己肯定感」を高める方法についてお話ししました。

「自己効力感」向上へのアプローチについてはまた次回、お話ししたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る➀

コーチングは今から25年前にアメリカから齎されたコミュニケーションスキルです。

学校の先生や敏腕営業マン、リトルリーグの指導者などコミュニケーションの達人達が持っている良い要素を集めて、体系化したことで出来上がったものです。

したがって、本来は目新しいものではなく、既にあるもを寄せ集めたスキルであると言っても良いと思います。

そんな、コーチングですが、実は万能ではなく、コーチングに向いている人とそうでない人が居ます。

自らの意思で活路を開きたいという目的意識と熱意のある人には機能しますが、それ以外の人にはあまり効果がありません。

私はコーチングの魅力に惹かれて今から約10年前にこの世界に入ったわけですが、コーチングを知れば知るほど、モヤモヤが募ってゆきました。

それは、コーチングに向いている人ってこの日本に「どのくらいいるのだろうか?」という事です。

私が思うに残念ながら、そう多くはないと思っています。

参考になる指標としてアメリカのギャラップ社が調査した結果で、会社の中で熱意を持って仕事をする人の比率を調べた調査があります。

その調査によると、アメリカが31%に対し、日本はなんと6%しかいないという残念な結果が出ています。

この結果にどの程度の信ぴょう性があるかはわかりませんが、昨今の経済発展力の違いを見れば、そこそこ妥当性があると言えるのではないかと思います。

コーチングは「熱意のある」人には有効なスキルと言えるので、今の日本でコーチングが有効に機能するのは6%の人達であると言えます。

そんな、6%の人にしか効果のないスキルなんて要るのだろうか?と疑問に思ったわけですが、コーチングが目指すものは人が持つ可能性を無限に広げてゆく事であり、一人一人が尊厳を持って生きれるようになる事です。

これは、私たち日本人にも必ず必要な事であり、そんな世界を実現したいと言う思いも持っています。

じゃあ、どうするのか?という事ですが、ある日ふと「日本人が持っているある特性」を加味すれば良い事に気が付きました。

それは、「カスタマイズ能力」です。

日本人は太古の昔から、外国から来た「文化」「風習」を積極的に取り入れ、自分達に合った形にカスタマイズしてきました。

したがって、「コーチング」も「日本人向けにカスタマイズ」してゆけば良いのです。

口で言うのは簡単で、具体的にどうやってカスタマイズするか?という事ですが、私にはひとつイメージしている事があります。

それは「自信」を育てる事からスタートする事です。

なぜ、「自信」なのかと言うと、数々のビジネスマンに関わった結果、感じたのが「自信の欠乏」だからです。

そして、熱意のある人を6%にとどめている最大の理由である「日本人の消極的気質」も、この「自信のなさ」から起因していると考えています。

私が認識している日本人の消極的気質とは、大体以下のようなものです。

減点法主体の評価

学校教育の在り方が変わり、最近は少し変わってきたと思いますが、大人の社会は相も変わらず減点評価が蔓延っていると言っても良いと思います。

つまり、どれだけミスをしないか?が重要な指標なのでリスクを負うような行動を避け、できるだけ「受け身」で対応するのが、無難であると考える。

したがって、自ら考え、決めて、発言したり、行動することを避けるようになります。

さらに「出来たこと」や「成果」よりも「できなかった事」「反省点」の方に眼が生きがちで一般的な日本人の自己肯定感、自己効力感が低い理由に繋がっていると思います。

横並びを好む

人と違う事を恐れ、同じである事に安心感を抱く。

多くの日本人は必要以上に「他人の目」を気にする習性があります。

これが、発言や行動の自由を制限し、度を過ぎると「同調圧力」を生みます。

集団の中で「浮く事」を恐れ、他人の顔色を窺って感情を害さないように振る舞います。

自分の本心を言わない

これも「横並び」を好む性質に関連している事ですが、「本音」と「建て前」が当たり前のように日常のコミュニケーションに溢れ、本心を語らない習慣が定着しています。

本心を言う事で相手に反感を買い、「自分が嫌な思いをしたくない」と言う思いが強いのだと思います。

その気がないのに「検討します」と答える習慣は生産性を落とす最悪な習慣だと思っています。

曖昧を好む

これは、「アクションプラン」についてお話しした時にも出てきたことですが、決める事を避ける意識が強いようです。

常に「逃げ場」を残しておきたいという思いから、曖昧な表現を好むのではないかと感じています。

「答え」を欲しがる

言い方を変えると「考える事」をさぼる気質と言っても良いかもしれません。

長きにわたって、忠実性、勤勉性が日本人の強みであったことの弊害と言う言い方もできるかもしれませんが、言われた通りの事をやるという事に慣れて過ぎていて、自分で考える事にストレスを感じる方も多いようです。

これも長年染みついた事であるので払しょくするのは並大抵の事ではありません。

他にもあると思いますが、思いつくまま5つの気質を挙げてみました。

したがって、以上のような気質を社会が形成している事により、自信のない人が「量産」されているという風に私は捉えています。

しかるに日本人向けのコーチングは、「自信の育成」から始める必要があると言うのが今見えている私の結論です。

例えば、自転車を一人で乗れるようになるために「補助輪」をつけるようなものです。

本来は、自分で自転車が漕げ、自分の意識で行先を決められる人を対象とするのがコーチングなのですが、自分で自転車を漕げない人が多いので、まず漕げるようにしてあげないといけないわけです。

自信がなければ熱意も持てないし、自分で考え、決めて、責任を持って遂行するなど出来ないからです。

では、自信はどのように育ててゆくのかですが、これは次回以降でお話ししたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

研修の生産性を高める方法④

「確認とフォローで継続を促進する」研修でアクションプランを書いてもらい、改善につなげていただくというのが私の研修のお決まりになっています。

活きたアクションプランにする為のカギは、どれだけ「具体的、計測可能」なものにするかという事なのですが、おかげさまで、最近の研修では、参加者の方々は具体的計測可能を踏まえたアクションプランが書けるようになってきました。

ただし、それによって新たな課題も見えてきました。

それは、「計画を継続して実行する」という事。

本来は、決めた通りの内容を計画通り実行してくれれば、その結果を踏まえて、次への成長へのサイクルを回すことができます。

なぜなら、アクションが具体的であれば、結果も具体的になり、次への計画も立てやすくなるからです。

しかし、計画が具体的であったとしても実行されるとは限らない。

それこそが、次の課題です。

これは、会社が研修、教育をどうとらえるか?に関わってくる事なので、改善は簡単ではありませんが、「研修」のための「研修」にしないため、活きた研修にするために真剣に考える必要があります。

では、アクションプランの実行継続に導くためにはどうしたら良いかという事ですが、結論から言うと、短いサイクルで行動を第三者がサポートする仕掛けが必要だと思っています。

なぜなら、一人の力で行動を変えたり、新たに新しい事を始める事は容易ではないからです。

それは、2つの理由によります。

一つ目は以前お話しした通り、私たちの脳は「変化を嫌う」傾向があり、当事者は常に、アクションを休んだり、やめたりする誘惑にかられるからです。

また、一人で走ると視野がどうしても狭くなり、目先の成果を上げる事に意識を採られがちになります。

すると「できていない事」や「足りない事」の方に自ずと目が行き、心の中で「やる意味があるのか?」「無駄なんじゃないか?」と疑心暗鬼になり、いつの間にか、行動が止まってしまいます。

かくして、変化を嫌う「脳」の術中にはまってしまうわけです。

でも、「得たこと」や「わかった事」そして「なぜそれを得れたのか?」を深堀する機会があると例え、期待した成果がまだなかったとしても、やったことに「意味がある」事に気が付くことができます。

実は、このプロセスの中にあるプラス要因の積み重ねこそ、最終的な大きな成果に繋がってゆくのです。

それに、「やれなかった」「できなかった」という振り返りではモチベーションが下がる一方ですし、自己肯定感もどんどん低くなってゆきます。

次にもう一つの理由ですが、それは「現場の抵抗」です。

新しく取り組みが増えるという事は、やらなくてはいけない事が増える事になり、メンバーにとっては「負担」になります。

彼ら一人一人に「脳」があるので、いざ行動を始めても続ける意味よりもやめる理由を探す方が楽なので、隙あらば、多忙を理由に行動を止めようとします。

したがって、メンバーの行動に今度はリーダーが「伴走」し、意味や目的を繰り返し説き、得たこと、わかった事、小さな成果に目を向けさせてゆく必要があるのです。

これは想像以上にエネルギーを要するので、孤独な闘いの中でこれを続けるのはかなりのエネルギーが必要です。

なので、客観的な視点を持った伴走者が居てくれた方が良いのです。

伴走者はどういう人が良いのか?

伴走者ですが、本来はリーダーの上長がこの役割を担えることが望ましいのですが、実際問題は難しいと思います。

なぜなら、上に行けば行くほど、多忙であり、部下の学びよりも目先の成果に追われるケースが多く、自分の考えで「早く」部下を動かしたくなるからです。

最悪は、上長判断によって活動が止まるようなケースも出てきます。

したがって、伴走者は「利害関係のない第三者」である「他部門の上長」が良いと思います。

同じ社内であっても「直接的な利害関係」がない事で「客観視点を持ったメンター」のような位置づけで関わる事が可能になります。

また、同じ社内にいて、内情がわかるからこその利点もあります。

ただし、客観的な応援者であるためには、ある程度のコーチングスキル習得は必要になります。

これについては、また機会を改めて詳しくお話したいと思います。

ただ、役職が上がれば上がるほど忙しくなるのは世の常で、現実問題として難しい場合は思い切って、外部のサポートを活用しましょう。

外部のサポートとしては、主にコンサルタント、コーチ、カウンセラーがあります。

違いは、コンサルタントはアドバイス、解決策の提示が中心になります。

彼らの経験値で「答え」を与えてくれるわけです。

「経験の薄さから答えが見えない」新任リーダーにはティーチング中心のサポートも良いかもしれません。

次にカウンセラーですが、本来は、精神的に弱った人を話をじっくり聞きながら、正常な状態に戻すことが主な役割になりますので、アクションを前に進めるという意味では適任ではないかもしれません。

最近は「キャリアカウンセラー」「産業カウンセラー」など、本来の意味とは違う役割にも「カウンセラー」という名称を使うのでややこしいのですが、本来はメンタルの回復が主な役割です。

その点、コーチは、対話の中で相手の気づきを誘発し、成長や成果に結び付けてもらうためのサポートですので、アクションプランのフォローと言う点においては適任だと思います。

リーダーのキャリアや年齢、そして課題などを考慮してお選びいただければよいと思います。

どういう人を伴走者に使うかは別として、経験上わかっている事ですが、利害関係のない第三者の方が「話しやすい」事もあり、素直に思ったことを言える方が多いようです。

今日はここまで研修の生産性を上げる為のサポートの必要性についてお話してきましたが、学びを行動に繋げ、成果に繋げてゆきたいという風にお考えでしたら、是非「第三者サポート」の導入をご検討いただきたいと思います。

短期的、コスト的には「単発研修」より割高になりますが、中長期で見たら、安い投資になるはずです。

研修の生産性を高めるには③

研修の生産性を高める方法

今日は「研修参加者の動機づけ」をどのように高めるかについて考えてみたいと思います。

日本企業では階層に応じた研修の参加を義務付けているところも多いと思いますが、研修を「投資」と捉えた場合、それに見合ったリターンがあるか?については疑問を感じる事が多いのではないでしょうか?

その大きな要因となっているのが参加者の受講に対する「動機の弱さ」です。

どういうことかと言いますと、参加者の多くは「研修なんか参加している場合じゃないんだよ」「忙しいのに・・・」「仕事がしたいのに・・・」「しょせんは机上論だろ?」など、本心では、少なからず不満を抱えながらも、会社から言われて、仕方なく参加されている方が多いという事です。

中には「高い意識」を持って何か吸収してやろうと意欲的に参加される方もいるとは思いますが、そういう方は、基本的には既に「良い上司」であり、会社としては、そうでない方の方を変えたいという思いの方が強いはずです。

研修会社も参加者の動機が低い事は前提として、コンテンツに様々な工夫を凝らし、参加者を飽きさない仕掛けや「参加して良かった」と思ってもらえるような内容のものを用意して研修に臨んでいます。

その結果、最初は嫌だったけれど、参加してみたら、「意外と良かった」という感想を持たれる方も多いのですが、研修が良かったからと言ってそれが現場でその後「活きる」のか?と言うと、残念ながら、そうはなりません。

それは、新しい試みを職場で行うには、相手方である「部下」の協力がないとうまくいかないからです。

例えば、よくあるのが研修から帰ってきた上司が変った行動をとると、部下たちはそれを「好意的」に捉えるよりも、けげんな表情や戸惑いを見せる事も多いと思いますし、場合によっては冷たい反応や抵抗を見せる場合もあります。

そうすると「あれっ?研修の時はうまくいったんだけれど・・・」「話が違うじゃないじゃないか!!」と意気消沈して、あっという間に以前の状態に戻ってしまうのです。

なので、学びを職場で活かすにはそれ相当の決意や思いがないと難しいという事です。

一般的な研修では参加者に「HOW TO」を教える事が多いと思いますが、研修の生産性を上げる為にまず考えなくてはいけない事は、参加者のマインドセット、つまり「学ぶ動機付け」です。

それは結論から言うと参加者が研修での「学び」を「自分事」として考えられるように導けるかどうか?に尽きると思います。

私たちは、日常において目の前の事に追われる日々を送っています。

そして、気が付くと歳をとって、社会人としての終わりが段々近づいてくる。

でも、リアリティを持って、「終わり」に備え、準備している方は「稀」です。

なぜなら、「ゆでガエル」の話にあるように変化ははっきりとわかるようには起こらず、非常に緩やかに深層から進むからです。

基本的に変化を嫌う私達にはある意味強制的に意識を常に未来に向け、リアリティを持って備えるしか、変化に対応する事が出来ません。

まだ先の事だと思っているうちに手遅れになってしまうのです。

だから、日常の連続性が断絶する研修は絶好の機会であり、「変化」を意識し、「変化」に備える必要を感じてもらえる良い機会なのです。

では、どのように目を向けさせ、変化を促進するのか?という事ですが、私の研修では、

  1. 世の中の未来予測
  2. 自身のありたい姿(理想像)
  3. 会社を卒業する時の理想の状態
  4. ありたい姿、卒業時の理想の状態と「現状のギャップ」=問題
  5. 最悪の未来(会社を卒業する時に避けたい未来)
  6. 課題とアクションプラン
  7. 実行フォロー(個別コーチング)
  8. アクションの振り返り、内省
  9. リプランニング
  10. 実行

と言う流れを6ヶ月プログラムとして作って、自分の未来に向かっての行動を継続して行う仕掛けを提供しております。

研修に参加した人が職場で変化を起こすためには、ある意味孤独な闘いを強いられる事になりますが、「プロコーチ」による個別コーチングがセットされている事で参加者を勇気づけ、行動を継続する事に対し、有効に機能しています。

参加者にとって大切な事は、改善を継続する中で成果に繋げてゆくという事はもちろんの事、「自身の付加価値」向上にもつながります。

会社に従属的に身を任せる時代は既に終わっており、ビジネスマンは仕事を通じて、自分の付加価値を上げるという視点に立って、会社と付き合う時代になってきています。

私は参加者にプレイングマネージャーという立場をフル活用し、自分の付加価値を上げて欲しいといつも伝えております。

自分の未来に今が繋がると言う風にリアリティを持って考えられれば、参加者の研修に臨む姿勢も変わるはずだからです。

もし、研修の在り方、進め方に疑問をお持ちでしたら是非一度ご相談いただければと思います。

必ずやお役に立てると思います。