日本人に合ったコーチングを創る⑤

自己効力感を向上させるスモールステップ

 今日は「部下の自己効力感を向上させるスモールステップ」について考えてみたいと思います。

自己効力感は、簡単に言うと「自分が掲げた目標を達成できる」と信じられるようになる事です。

そのためには「目標達成に繋がる行動」を自分と約束し、守ってゆく事が大切です。

その際、注意を払うべきは行動目標の設定の仕方です。

なぜなら、あまり極端に新しい行動を始めると、必ずと言っても良い程「長続き」しないからです。

例えば、リーダーの関わりによって、部下が見違えるようにやる気になる事がありますが、そのままの意気込みで「行動目標」を設定すると、つい「盛りだくさん」で「達成難易度が高い」目標を設定しようとする場合がよく見られます。

やる気になるのは良い事ですが、最初からハードルを上げると「ガス欠」になって続かなくなるのです。

「三日坊主」という言葉があるように、新しい行動を「継続する」のは難しくて当たり前。

なので、三日坊主にならない様に行動の目標を設定する必要があります。

では、どのように考えたらよいかですが、「ジョギング」を例にして考えてみましょう。

一番うまくいかないパターンが「いきなり早起きして、ジョギングを開始する」と言うものです。

数日間は、続けられるかもしれませんが、大きく生活習慣が変わるような行動を始めるのはあまりお勧めしません。

なぜなら、私たちの脳には「変化を嫌い、安定を好む」と言う習性があるため、新しく始めた行動をやめさせようとするからです。

したがって、いきなり早起きして走り始めるのではなく、脳がはっきりと認識できないように少しづつ変化を起こしてゆく必要があります。

例えば、以下のようなプロセスで進めるのがおすすめです。

  1. いつもより30分早く起きる事を2週間続ける。
  2. もう30分早く起きる事を2週間続ける。
  3. 散歩から始め、2週間続ける。
  4. 散歩の中で苦痛に感じない距離だけ走り、残りは歩く。これも2週間続ける。
  5. 走る距離を少しづつ延ばしてゆく。
  6. 全部ジョギングしてみる。

と言うように段階を踏むのです。

そうすれば、「脳の停止命令」を発動させる事なく、ジョギングを習慣化できます。

業務で部下と行動目標を設定する際にも同様のアプローチが有効です。

例えば、ITの技術者の例で言うと、資格取得と言うのが「部下の目標」の一つであるとすると、いきなり「毎日2時間勉強する」という行動計画を設定するのではなく、最初の2週間は15分間集中して勉強をする。

次の2週間は30分、次は・・・というように段階を踏んで伸ばしてゆくと無理なく、学習を続ける事が出来るようになります。

大切なのは「やる気」から始まる行動をいかに「続けられる」ようにしてあげるか?です。

そのためには「欲張らない」「急ぎすぎない」が大切です。

いかがだったでしょうか?

今日は自己効力感についてお話ししました。

それから、大切な事を言い忘れましたが、部下と目標を決め、行動計画を設定する時には、なぜ、行動計画のハードルを段階的に上げていった方が良いのか?の理由を説明してから、取り組んでください。

納得した上で取り組んでもらう事が大切だからです。

次回は「小さな成長に目を向ける」について考えてみたいと思います。