研修の生産性を高める方法④

「確認とフォローで継続を促進する」研修でアクションプランを書いてもらい、改善につなげていただくというのが私の研修のお決まりになっています。

活きたアクションプランにする為のカギは、どれだけ「具体的、計測可能」なものにするかという事なのですが、おかげさまで、最近の研修では、参加者の方々は具体的計測可能を踏まえたアクションプランが書けるようになってきました。

ただし、それによって新たな課題も見えてきました。

それは、「計画を継続して実行する」という事。

本来は、決めた通りの内容を計画通り実行してくれれば、その結果を踏まえて、次への成長へのサイクルを回すことができます。

なぜなら、アクションが具体的であれば、結果も具体的になり、次への計画も立てやすくなるからです。

しかし、計画が具体的であったとしても実行されるとは限らない。

それこそが、次の課題です。

これは、会社が研修、教育をどうとらえるか?に関わってくる事なので、改善は簡単ではありませんが、「研修」のための「研修」にしないため、活きた研修にするために真剣に考える必要があります。

では、アクションプランの実行継続に導くためにはどうしたら良いかという事ですが、結論から言うと、短いサイクルで行動を第三者がサポートする仕掛けが必要だと思っています。

なぜなら、一人の力で行動を変えたり、新たに新しい事を始める事は容易ではないからです。

それは、2つの理由によります。

一つ目は以前お話しした通り、私たちの脳は「変化を嫌う」傾向があり、当事者は常に、アクションを休んだり、やめたりする誘惑にかられるからです。

また、一人で走ると視野がどうしても狭くなり、目先の成果を上げる事に意識を採られがちになります。

すると「できていない事」や「足りない事」の方に自ずと目が行き、心の中で「やる意味があるのか?」「無駄なんじゃないか?」と疑心暗鬼になり、いつの間にか、行動が止まってしまいます。

かくして、変化を嫌う「脳」の術中にはまってしまうわけです。

でも、「得たこと」や「わかった事」そして「なぜそれを得れたのか?」を深堀する機会があると例え、期待した成果がまだなかったとしても、やったことに「意味がある」事に気が付くことができます。

実は、このプロセスの中にあるプラス要因の積み重ねこそ、最終的な大きな成果に繋がってゆくのです。

それに、「やれなかった」「できなかった」という振り返りではモチベーションが下がる一方ですし、自己肯定感もどんどん低くなってゆきます。

次にもう一つの理由ですが、それは「現場の抵抗」です。

新しく取り組みが増えるという事は、やらなくてはいけない事が増える事になり、メンバーにとっては「負担」になります。

彼ら一人一人に「脳」があるので、いざ行動を始めても続ける意味よりもやめる理由を探す方が楽なので、隙あらば、多忙を理由に行動を止めようとします。

したがって、メンバーの行動に今度はリーダーが「伴走」し、意味や目的を繰り返し説き、得たこと、わかった事、小さな成果に目を向けさせてゆく必要があるのです。

これは想像以上にエネルギーを要するので、孤独な闘いの中でこれを続けるのはかなりのエネルギーが必要です。

なので、客観的な視点を持った伴走者が居てくれた方が良いのです。

伴走者はどういう人が良いのか?

伴走者ですが、本来はリーダーの上長がこの役割を担えることが望ましいのですが、実際問題は難しいと思います。

なぜなら、上に行けば行くほど、多忙であり、部下の学びよりも目先の成果に追われるケースが多く、自分の考えで「早く」部下を動かしたくなるからです。

最悪は、上長判断によって活動が止まるようなケースも出てきます。

したがって、伴走者は「利害関係のない第三者」である「他部門の上長」が良いと思います。

同じ社内であっても「直接的な利害関係」がない事で「客観視点を持ったメンター」のような位置づけで関わる事が可能になります。

また、同じ社内にいて、内情がわかるからこその利点もあります。

ただし、客観的な応援者であるためには、ある程度のコーチングスキル習得は必要になります。

これについては、また機会を改めて詳しくお話したいと思います。

ただ、役職が上がれば上がるほど忙しくなるのは世の常で、現実問題として難しい場合は思い切って、外部のサポートを活用しましょう。

外部のサポートとしては、主にコンサルタント、コーチ、カウンセラーがあります。

違いは、コンサルタントはアドバイス、解決策の提示が中心になります。

彼らの経験値で「答え」を与えてくれるわけです。

「経験の薄さから答えが見えない」新任リーダーにはティーチング中心のサポートも良いかもしれません。

次にカウンセラーですが、本来は、精神的に弱った人を話をじっくり聞きながら、正常な状態に戻すことが主な役割になりますので、アクションを前に進めるという意味では適任ではないかもしれません。

最近は「キャリアカウンセラー」「産業カウンセラー」など、本来の意味とは違う役割にも「カウンセラー」という名称を使うのでややこしいのですが、本来はメンタルの回復が主な役割です。

その点、コーチは、対話の中で相手の気づきを誘発し、成長や成果に結び付けてもらうためのサポートですので、アクションプランのフォローと言う点においては適任だと思います。

リーダーのキャリアや年齢、そして課題などを考慮してお選びいただければよいと思います。

どういう人を伴走者に使うかは別として、経験上わかっている事ですが、利害関係のない第三者の方が「話しやすい」事もあり、素直に思ったことを言える方が多いようです。

今日はここまで研修の生産性を上げる為のサポートの必要性についてお話してきましたが、学びを行動に繋げ、成果に繋げてゆきたいという風にお考えでしたら、是非「第三者サポート」の導入をご検討いただきたいと思います。

短期的、コスト的には「単発研修」より割高になりますが、中長期で見たら、安い投資になるはずです。