受身組織を改革する方法<2>NG疑問文を使わない

受け身組織を改革する方法の第二弾は「NG疑問文を使わない」です。

私達が日常使う言葉の中には「疑問文」のような形式を取っているが、意味合いは「相手を責める」ようなものが多くあります。

このようなワードを多用すると部下の自主性や主体性が育たないばかりか、メンタルを破壊してしまう恐れがあります。

なぜなら、部下が受け身になっている理由の多くは「怒られたくない」「否定されたくない」といネガティブな深層心理が働き、「余計な事はしないで言われたことだけ何とかこなそう」と考えるからです。

では、どうしてこのような心理を持っているのか?というと過去の人生において「人格を否定」されるような言葉を投げかけられた経験が少なからずあり、これがトラウマのようになっている可能性があります。

したがって、上司が自分をどのように見ているのかという事に対して部下は、とても「敏感」であり、上司は部下と接する時にどのような言葉を使うのかについては注意が必要です。

今回は上司として部下に言ってはいけないNG疑問文と「毒にならない」言い換え方をいくつかご紹介したいと思います。

【1】こんな事もわからないの?(できないの?)

これは言外に「お前は使えないやつだな」と言っているに等しいのでNG度は最悪ランクです。
これを言う事で部下が「奮起する事」も「改善する事」もなく、上司が部下に対し文句を言っているだけなので関係性は悪化、下手したら恨まれるようになり、「害」しかありません。

お勧めの言い換え方➡何かわからない事があったの?できなかった理由は何なの?

【2】なんで~なの?(なんでこうしたの、なんでできないの?なんでわからないの?など)

英訳すると「WHY」なので一見相手に何を尋ねる文章のようで実際は「叱責」のニュアンスが強い言い方です。
こういう言い方は部下を追い詰め、「メンタル破壊」にも繋がる危険性があるのでNG度は同じく最悪ランクです。まさに「猛毒」ワードです。

お勧めの言い換え方➡こういう風にした理由は?できなかった理由は何かあるのかな?どこがわからないの?

【3】何やってんの?

これも良く日常で登場する「ワード」です。期待した通りに部下がやらなかった時に良く口から出てくるワードです。これも相手を強く責めるワードで職場だけでなく、家庭でもよく使いがちなNGワードです。私も結構子供に対し、言ってしまってるかもしれません。反省反省。

お勧めの言い方➡おっ、どうしたんだ?あれ、正しく伝わらなかったかな?

【4】何回説明すればいいの?

同じ間違いを繰り返してしまう部下に言いがちな言葉です。これも「お前は〇鹿なの」と言っているのと同じであり、相手に与えるダメージは強いワードです。

お勧めの言い方➡また、間違っているよ。わからないのはどこかな?

【5】どうすんの?

ミスや未達成の事柄に対し、対応を求める場合によく使うワードです。追い詰める要素が大きく、改善よりも精神的に追い込む要素が強くなります。

お勧めの言い方➡どうやって対応する?どうやって取り返そうか?

一見疑問文だけれど、相手を攻撃してしまう要素のあるワードを見てきました。

お気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、NG疑問文の方は「お前は」という主語が隠れているのに対し、お勧めワードの方は、「こと」や「行動」にスポットが当たっています。

上司が部下と話すのは本来「成長」を促し、「成果」に結び付けてもらう為です。
話す前に「目的は何か?」を考え、一時の「怒りの感情」をぶつけるだけにならないように注意しましょう。

仮に怒ったところで一時的に部下の行動が変わったとしても「怖いから」と言う理由で動いただけで成長には決して繋がらないからです。

今まで私が多くの管理職の方と接してきてわかった事は、部下が自分の思ったように動かない,期待通り成長しない理由の多くは「部下」にあるのではなく、上司の「あり方」「話し方」「聴き方」「接し方」にあるという事です。

良かったら、自分が使いがちなNG疑問文を洗い出し、「部下の行動を変える」「成長を促す」言い方に変えてみましょう。

もしかしたら、最初は、ぎこちなくなってしまうかもしれませんが「コミュニケーション」は筋肉運動と同じで繰り返し使う事で上手くなります。

言い方を変えるだけで部下の心理が「怒られたくない」「否定されたくない」から「認められたい」「評価されたい」に変ったら、こんな良い話はないと思いませんか?