優秀な奴ほど「気にかけ、未来を語る」

今日は「スモールステップ」のお話をする予定でしたが、先日、ショックな事があり、それを題材にお話ししたいと思います。

あなたの会社にも「エース」のような、辞めてもらっては困る優秀な社員が居ると思います。

そういう人は、往々にして手がかからない貴重な存在で、その人に任せておけば、万事上手くゆくような人。

基本的に優秀であるが故に会社も必要以上に干渉せず、業務上のやり取り以外、じっくり話す機会も少なくなる傾向があります。

なぜなら、私たちは「問題」があったり、「サポートが必要な人」の方に意識がとられ、時間もエネルギーも費やす事が多いからです。

でも、油断して放置しておくと「後悔先に立たず」と言う結果を招いてしまいます。

実はまさに、今お話ししたようなことが「カンパニーコーチ」として関わっている会社で起こってしまいました。

その彼は社内でも一目置かれた優秀な人材で、会社としても近い将来、幹部になって欲しいと考えていた人です。

その彼が中心メンバーの一人として関わっていた「若手勉強会」に欠席が目立つようになり、心配になった経営者が話を聞いてみたところ、「退職」する意思がある事がわかったのです。

理由を聞くと、来年結婚を考えている婚約者が遠方に居て、結婚をするにしても東京に出てくる意思がなく、それなら、彼女の元に転居し、転職しようと考えたそうです。

現在は転職活動の最中でいくつか候補企業の中から、何処に行くかを考えているという状態です。

経営者から「私からも話をして欲しい」と言われ、面談したのですが、心がすでに会社から離れている印象を受けました。

もちろん、会社側も引き続き、引き留めるための説得を試みてはいますが、そこまで、話が進んでいると翻意させる事は難しいだろうと感じています。

ただ、彼が「転職をする」という決断に至るまでにはある程度の時間がありました。

彼の話によると、付き合っていた彼女との間で結婚の話が出たのが半年前、転職に向けて舵を切ったのが「8月」頃だったそうです。

一旦は、会社側と交渉する事も考えたそうです。

例えば、「全てリモート勤務にしてもらえないか?」「転居先に会社の支店を出してもらえないだろうか?」など。

でも、実際は会社に対し、何も交渉しませんでした。

その理由は、「この会社にそこまでこだわる理由がない」という結論に至ったからだそうです。

この言葉は言い換えれば、今の会社に魅力がないと言っているようなもので、とても、とても「重い一言」です。

もう少し早く、話が出来ていればとも思いましたが、それでも恐らく、結論は変わらなかったでしょう。

事は急場しのぎでなんとかなるような単純な話ではないからです。

優秀な奴ほど「会社の未来」を創る側に引き込む

今回の彼のような優秀な人間は、中途半端な状況で「人に相談する」事はせず、進退は自分だけで考える事が多いように感じます。

したがって、会社にとって重要な人ほど未来を描く側に立ってもらえるように早くから、継続的に働きかけてゆく必要があります。

「期待は伝わっているだろう」「分かってくれているはず」という考えは人の心には通用せず、まめにコミュニケーションをとってゆく必要があるんだという事を私も改めて、今回の件で学ばせていただきました。

今は「彼の幸せ」を祝福しつつも、同じことが起こらないように早速、会社に対しては幹部候補の選定と新しい幹部会を設立する事を提案しました。

転職にそれほど抵抗がなく、個人の時代と言われる現代において、優秀な人に「ずっとこの会社で働きたい」と思ってもらえる様な魅力ある会社創りに貢献して行きたいと、私自身も今回の件をきっかけに決意を新たにしました。

優秀な奴ほど「まめに」気に掛けてあげる。

ご参考にして頂けたら幸いです。

日本人に合ったコーチングを創る④

前回は義務感、強制感を感じる仕事の中で、その中に「個人の目的」を設定できるか?どうかが大切と言うお話をしました。

今回は目標の具体的明確化についてのお話です。

これは簡単に言うと「いつまでに、なにを、どのように、どのくらい、どうする」という事を決めるという事です。

こうやって書くと簡単に見えますが、日頃から「抽象」「曖昧」の世界にどっぷりつかっている我々には、具体的に決めるという事は意外と難しい事です。

また、「アクションプラン」のところでも振れますが、とにかく、私たちは「はっきりさせる」事が苦手な国民であり、「決める事」を嫌がります。

でも、ここで妥協してしまうと部下の成長も「曖昧」なものになってしまい、変化の少ない停滞した日常に陥ってしまいます。

目標はどうやって決める?

では、具体的に目標をいかに決めるのか?ですが、部下が描いた「理想の姿」「GOAL」を達成するための「要件定義」を考える事から始めると良いと思います。

理想像である「ありたい姿を実現している」将来の部下が持っているであろう「人格」「知識」「スキル」「経験」を考えるという事です。

そして、その「要件定義」と現状に至る「ギャップ」を埋めてゆく事で自身の成長に対する道筋が見えてきます。

そして、理想への「標」(しるべ)である「目標」を今見えている、頑張れば手が届く範囲で設定します。

例えば、プロ野球選手の例で例えてみたいと思います。(なんで?と言う突っ込みは置いておいて)

今年ロッテにドラフト3位で指名された新潟「日本文理高校」の「田中晴也」と言う選手がいます。

私が新潟出身なので注目している子なんですが、ドラフト指名された時にこのテーマに合った「発言」があったので「題材」として取り上げてみたいと思います。

田中選手は記者会見で「日本を代表する選手になりたい」という「ありたい姿」を掲げています。

もし、あなたが、田中選手のコーチだったら、どうやって、この選手の目標を設定させますか?

ここで、先ほどのプロセスを使って考えてみましょう。

以下、田中選手と目標設定の為にやる妄想対話です。

コーチ
いつ、そうなっていたいの?

田中選手
25歳(7年後)

コーチ
どうなっていたら「日本を代表する選手」と言えるの?

田中選手
22歳から3年連続「最多勝投手」になっている。
18勝以上を3年間続けている。
通算防御率が2点台。
WBCに日本代表の先発投手として参加し、チームを勝利に導いている。
最高速度160km/hを投げている。
次にメジャーに行くのは「田中」とメディアでも言われている。
子供達のなりたい野球選手1位になっている。
チームメイトから「認められる」存在である。

コーチ
実現するために必要な事は?

田中選手
年間を通じて安定した投球ができる「ボディ」。
わかっていても打てない「直球」(回転数2500以上)。
何があっても動じない「メンタル」。
けがをしない「柔軟性」「ケア」を極める。
好不調に関わらず、態度を変えず、ファンに接する姿勢。
変化球のバリエーションを5種類まで増やす。
いつも見られているという事を意識して、私生活が乱れないようにする。
すべての球種でいつでも「ストライク」が取れるようになる。
サポートスタッフに対する「感謝の気持ち」を忘れない。
ファンあっての自分である事を忘れない。
チームワークを良くする存在である。
バッター心理を理解し、裏をかけるようになる。
頭を使った投球術を身に付ける。

コーチ
そのために来年一年間はどんなことを目標にする?

田中選手
プロ野球選手としての基盤を創る。
一年間戦える体力とボディを手に入れる。
ストレートの球速と回転数を上げる。
怪我無く過ごす。
メンタルについての知識を学ぶ。

コーチ
具体的には?

田中選手
体脂肪率5%で体重95㎏を達成する(現状85㎏)。
メンタルトレーニングの本を10冊読む。
年間で1200㎞走る。
股割りができるようになる※前屈や他の柔軟目標を別途細かく設定。
最高球速を5km/hアップする(155km/h)。
毎日気づいた事振り返り、記録する。

という具合です。

「ありたい姿」からそれが達成される為の条件を決め、短期の目標にする。

こうすると「遠くに見える未来」に向かう道筋が見えてきて、部下自身も自分の成長を図る事が出来ます。

ありたい姿や目標は変えちゃいけない?

良く研修で、「一度決めた」「ありたい姿」や「目標」は変えてはいけないのか?という質問をうけます。

ありたい姿や目標達成に向けて活動している中で、違う課題が見えたり、もっと、やりたい事が出てくることがあります。

それでも「一度決めた」ことはやり続けた方が良いのか?ということですが、私は変えても良いと思います。

なぜなら、未来のことなど簡単に答えが出るものではありませんし、最初に立てた目標に「苦しさ」を感じたり、「義務感」しか感じなくなるようでしたら、そもそも本末転倒だからです。

大切なのは、しっくりくる「未来」を見つける為の自己探求をし続ける事、そして、そこに向かって「目標」設定をして挑み続ける事です。

「未来の奴隷」になる事ではなく、「理想の未来を更新」して「今を活性化し続ける」事です。

上司としては「コロコロ変えやがって」と思う事もあるかもしれませんが、繰り返し、繰り返し「苦悶」する中で本当に望んでいる事が見えてくるはずです。

なので、部下の「成長へのもがき」を「否定」「避難」することなく「俯瞰して見守ってあげてください。

「自分で見つけ出すこと」が何より、「大切」な事だからです。

今日は具体的な目標設定について取り上げました。

次回は目標を達成するための「スモールステップ」について考えてみたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る③

前回は「自信」を育てるために「自己肯定感(自分の存在価値を認める)」を向上させる必要性と育て方についてお話をしました。

今日は「自信」のもう一つの要素である自己効力感について考えてみたいと思います。

自己効力感を向上させる

自己効力感は「自分が成し遂げたいと思う事をやれる力がある」と信じられる事です。

この「自己効力感」を獲得できるようにするためには、「描く」力とそして「描いたものを」具体的にする事、そして行動力、継続力が重要にあります。

なので、上司としては部下に以下のような視点で関わってゆく事が大切です。

  1. 目的、理由の深堀り
  2. 目標の具体的明確化
  3. スモールステップ
  4. アクションプランの具体化
  5. 成長(小さな変化)に目を向ける

今日は「1.目的、理由の深堀り」について、考えてみましょう。

まずは何と言っても、ここが「肝」になります。

なぜなら、私たちは日常の業務をこなす中で「目的」「理由」よりも「早く着手する事」や目の前の「目標」に関心を置くことが多いからです。

したがって、「そもそもなんで?」という事に関して考える事に慣れていません。

しかし、ここが「甘い」と全てがズレてきて部下の行動が「止まる」ったり、パフォーマンスが落ちる原因になります。

なぜなら、「目標」ばかりに焦点が当たると、それが延々と続くことによって、次第に「義務感」や「強制感」ばかり感じるようになるからです。

「目的や理由」を深堀するのは、部下にとって新しい取り組みが「自分事」といて捉えてもらう為です。

価値観まで堀さげる

では、どこまで掘り下げるのか?という事ですが、部下の持っている「価値観」にたどり着く事が重要です。

「価値観」はその人が大切にしている「考え方」や、何かを決める時の「判断基準」になるものです。

簡単に言うと「良い、悪い」「好き、嫌い」「やる、やらない」を決めているその人なりの「考え方」ですが、今回扱うのは「理想像を描く」上で基準となる「価値観」で「こうありたい」「こうなりたい」の根拠となるものです。

この会社、仕事を通じてどうなりたい?どうありたい?を言語化できると、期限を決めた「目標設定」がしやすくなります。

後は、「価値観」探求をどうやってやるかですが、その人の過去にヒントがあるので、昔の事を「聴きだして」みてください。

ただし、過去の出来事は膨大であり、沢山時間が必要です。

なので、比較的、仕事の中で活きる価値観を聴きだすためには、リアル、二次元問わず、「影響を受けた人」に焦点を当てて質問すると「理想像」が描きやすくなります。

例えば、

  • 今まで出会った人の中で尊敬する人はどういう人?なんで?
  • 好きな歴史上の人物、有名人は?なんで?どういう所が好き?
  • 過去出会った中であこがれた人は?なんで?
  • 先生、先輩や上司で影響を受けた人は?なんで?
  • 好きなアニメのキャラクターは?なんで?

こういう質問を部下に投げてみてください。

そうすると部下自身も「自分が理想とする人物像」を描きやすくなりますし、「なぜそう思うのか?」という価値観も見えてきます。

まずは、「習うより慣れろ」という事で、最初から上手くいかないかもしれませんが、「なんでそう思うの?」と部下が言う事に関心を持って聴きだしてください。

もしかしたら、意外な発見があるかもしれません。

次回は②目標の具体化についてお話しします。

日本人に合ったコーチングを創る②

「自信を分解する・・・自己肯定感と自己効力感の育成から始めるコーチング」

前回は「日本人に合ったコーチング」を創るために「自信」を育てる事から始める必要があるというお話をしました。

今回はその続きになります。

まずは「自信」についてですが、自信は「自分で獲得する」と言うのが一般的な考えではないかと思います。

しかし、一方で自分で獲得する事が「難しい」人も多く存在するのも事実です。

特に人の目を気にし、「比較する、される」機会が多かった日本人にはその傾向が強いように感じます。

自信を育てる話の前に「自信とは何か?」を明確に理解する必要がありますが、辞書等によると自信とは「自分の能力・価値や自分の言行の正しさなどをみずから信じること。また、その気持ち。」とあります。

つまり、自信のない人とは、どう人なのか?と言うと「自分に価値や能力がない」と思っており、「自分の言葉を信じられない」人という事になります。

言い換えると、「自己肯定感」や「自己効力感」が低い人達であると言えます。

「自己肯定感」とは「自分を存在価値がある人間」であると感じる事であり、「自己効力感」は「自分はやろうと思ったことがやれる」人であると感じる事です。

この二つが低いと「自信がない」と言う認識になるわけです。

したがって、対象となる相手の自信をつけるには「自己肯定感」や「自己効力感」を高めてゆく事を意識しながら、関わってゆく必要があります。

自己肯定感、自己効力感を育てるコーチング

まず、今日は自己肯定感を高めるアプローチについて考えたいと思います。

自己肯定感を高めるには「自分の存在」が他者に良い影響を及ぼしている事を認識させる事が必要です。

その人の持つ長所や強みを「素直に」理解させることです。

良く研修で「自分の長所と強みを20個挙げて」という課題を出すことがあるのですが、残念ながら、20個書ける方はほとんどいません。

これは長い間「謙虚と卑下」を混同してきた結果と言っても良いのですが、褒められることに「素直になれない」私達の反応に原因があります。

私たちは褒められると良く「大したことない」「そんなことない」と言う言葉を発し、「いい気にならないよう」「調子に乗らないよう」戒めてきました。

しかし、見方を変えると「自分を否定する」言葉をを長い事自分に吐き続けてきたとも言えます。

結果、「自分は大したことない」と刷り込ませてきたわけです。

本当はそんなはずはないのに「自分に対する評価」が低くなってしまうのです。

私は「本心から自分を駄目だと思いたい」人はいないと思っています。

なので、自己肯定感を育てるにはこの呪縛から、解く必要があります。

では、具体的にどうしたら良いか?という事ですが、経験上、有効なアプローチの一つに「過去への旅」があります。

具体的に言うと「自分史」を書くという事。

私はクライアントとコーチングを始める際に「自分史」の交換からスタートします。

これには三つの狙いがあります。

一つ目は、私が先生ではないという認識を持ってもらう為であり、自分の価値観がなぜ、どのように形成されたのかを知ってもらう為です。

「自分史」は自分の偉大さや華やかな経歴だけを書くのではなく、むしろ、逆にある「苦しみ」「悲しみ」「挫折」等を洗いざらい、自分の記憶がある範囲で書き出すことが大切です。

なぜなら、「現在の価値観」が形成された原因となる出来事が「そこには」あるからです。

出来事を「乗り越えるために」自分なりの解釈をして私たちは生きてきました。

この解釈は、生きてゆく上で「自分を納得させる」為に必要なものでしたが、ある意味、「自己肯定感」「自己効力感」が低い原因にもなっている可能性があります。

したがって「自分史」を交換する事でコーチは上にいるのではなく、同じように悩み、苦しみ生きてきた人間である事を洗いざらい見てもらい、また「私の自分史」を手本にして素直に自分を振り返ってもらう事で自分の価値観が形成されたプロセスに目を向けてもらうのです。

更に言うと、今はあなたを応援するために「横にいる」のだという事を分かってもらい、自分から「腹を割って付き合う覚悟があるよ」と言う姿勢を見せる事で、相手が自分の事を話しやすい環境を創るためです。

二つ目の狙いは、自分に少なからず自信があった時、自信を持つことができた出来事、経験を思い出してもらう為です。

大きな出来事でなくても、周囲の人から「受け取った言葉」の中に自分の価値を表す「言葉」があるはずで、それを記憶の中から「発掘」し、「埃を掃って」再び、光を当ててもらいます。

そうすると「そういえば、こんな言葉をもらったなぁ」「こんな風に言われてたな」「このころはこうだったな」と自分の価値を感じていた自分を思い出せるのです。

その上で改めて「長所と強み」を書き出してもらうと、今まで書けなかった、忘れていた自分の長所や強みに目を向ける事が出来ます。

今、もしかしたら「自覚」できていなくても過去に発揮した長所や強みは、その人が本来持っているものであり、これから、自分を取り戻す上で「資源」になります。

こうして、まずは自分の存在価値に目を向けてもらい、「素直に」「正当に」自分を評価をしてもらう事からスタートすると「自己効力感」である「やろうと思ったことがやれる」にシフトしやすくなります。

また、書き出した「長所」や「強み」はいつでも、見れる状態にしておくとさらに良いと思います。

人の感情は一定ではありませんから、いつしか。ダークサイドに落ちた時に「戻れる場所」を作っておけば、深く沈むことはなくなります。

そして、三つ目の狙いは、いろんなことがあって、今まで生き抜いてきた自分を認めてもらう為です。

今まで多くの人と「自分史」交換をいたしましたが、平々凡々、平坦な人生を送ってきた人はおらず、ギャップが大きいか小さいかは別として山あり、谷ありの人生を皆潜り抜けて、今日を迎えています。

このことは、当たり前のようで実はすごい事なのです。

私の古い友人の中にも若くして、自らの人生に幕を下ろした人たちがいます。

まずは、純粋に今日まで「がんばってきた自分」を認める事から始めて欲しいと、いつも、クライアントには伝えています。

今日は「自己肯定感」を高める方法についてお話ししました。

「自己効力感」向上へのアプローチについてはまた次回、お話ししたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る➀

コーチングは今から25年前にアメリカから齎されたコミュニケーションスキルです。

学校の先生や敏腕営業マン、リトルリーグの指導者などコミュニケーションの達人達が持っている良い要素を集めて、体系化したことで出来上がったものです。

したがって、本来は目新しいものではなく、既にあるもを寄せ集めたスキルであると言っても良いと思います。

そんな、コーチングですが、実は万能ではなく、コーチングに向いている人とそうでない人が居ます。

自らの意思で活路を開きたいという目的意識と熱意のある人には機能しますが、それ以外の人にはあまり効果がありません。

私はコーチングの魅力に惹かれて今から約10年前にこの世界に入ったわけですが、コーチングを知れば知るほど、モヤモヤが募ってゆきました。

それは、コーチングに向いている人ってこの日本に「どのくらいいるのだろうか?」という事です。

私が思うに残念ながら、そう多くはないと思っています。

参考になる指標としてアメリカのギャラップ社が調査した結果で、会社の中で熱意を持って仕事をする人の比率を調べた調査があります。

その調査によると、アメリカが31%に対し、日本はなんと6%しかいないという残念な結果が出ています。

この結果にどの程度の信ぴょう性があるかはわかりませんが、昨今の経済発展力の違いを見れば、そこそこ妥当性があると言えるのではないかと思います。

コーチングは「熱意のある」人には有効なスキルと言えるので、今の日本でコーチングが有効に機能するのは6%の人達であると言えます。

そんな、6%の人にしか効果のないスキルなんて要るのだろうか?と疑問に思ったわけですが、コーチングが目指すものは人が持つ可能性を無限に広げてゆく事であり、一人一人が尊厳を持って生きれるようになる事です。

これは、私たち日本人にも必ず必要な事であり、そんな世界を実現したいと言う思いも持っています。

じゃあ、どうするのか?という事ですが、ある日ふと「日本人が持っているある特性」を加味すれば良い事に気が付きました。

それは、「カスタマイズ能力」です。

日本人は太古の昔から、外国から来た「文化」「風習」を積極的に取り入れ、自分達に合った形にカスタマイズしてきました。

したがって、「コーチング」も「日本人向けにカスタマイズ」してゆけば良いのです。

口で言うのは簡単で、具体的にどうやってカスタマイズするか?という事ですが、私にはひとつイメージしている事があります。

それは「自信」を育てる事からスタートする事です。

なぜ、「自信」なのかと言うと、数々のビジネスマンに関わった結果、感じたのが「自信の欠乏」だからです。

そして、熱意のある人を6%にとどめている最大の理由である「日本人の消極的気質」も、この「自信のなさ」から起因していると考えています。

私が認識している日本人の消極的気質とは、大体以下のようなものです。

減点法主体の評価

学校教育の在り方が変わり、最近は少し変わってきたと思いますが、大人の社会は相も変わらず減点評価が蔓延っていると言っても良いと思います。

つまり、どれだけミスをしないか?が重要な指標なのでリスクを負うような行動を避け、できるだけ「受け身」で対応するのが、無難であると考える。

したがって、自ら考え、決めて、発言したり、行動することを避けるようになります。

さらに「出来たこと」や「成果」よりも「できなかった事」「反省点」の方に眼が生きがちで一般的な日本人の自己肯定感、自己効力感が低い理由に繋がっていると思います。

横並びを好む

人と違う事を恐れ、同じである事に安心感を抱く。

多くの日本人は必要以上に「他人の目」を気にする習性があります。

これが、発言や行動の自由を制限し、度を過ぎると「同調圧力」を生みます。

集団の中で「浮く事」を恐れ、他人の顔色を窺って感情を害さないように振る舞います。

自分の本心を言わない

これも「横並び」を好む性質に関連している事ですが、「本音」と「建て前」が当たり前のように日常のコミュニケーションに溢れ、本心を語らない習慣が定着しています。

本心を言う事で相手に反感を買い、「自分が嫌な思いをしたくない」と言う思いが強いのだと思います。

その気がないのに「検討します」と答える習慣は生産性を落とす最悪な習慣だと思っています。

曖昧を好む

これは、「アクションプラン」についてお話しした時にも出てきたことですが、決める事を避ける意識が強いようです。

常に「逃げ場」を残しておきたいという思いから、曖昧な表現を好むのではないかと感じています。

「答え」を欲しがる

言い方を変えると「考える事」をさぼる気質と言っても良いかもしれません。

長きにわたって、忠実性、勤勉性が日本人の強みであったことの弊害と言う言い方もできるかもしれませんが、言われた通りの事をやるという事に慣れて過ぎていて、自分で考える事にストレスを感じる方も多いようです。

これも長年染みついた事であるので払しょくするのは並大抵の事ではありません。

他にもあると思いますが、思いつくまま5つの気質を挙げてみました。

したがって、以上のような気質を社会が形成している事により、自信のない人が「量産」されているという風に私は捉えています。

しかるに日本人向けのコーチングは、「自信の育成」から始める必要があると言うのが今見えている私の結論です。

例えば、自転車を一人で乗れるようになるために「補助輪」をつけるようなものです。

本来は、自分で自転車が漕げ、自分の意識で行先を決められる人を対象とするのがコーチングなのですが、自分で自転車を漕げない人が多いので、まず漕げるようにしてあげないといけないわけです。

自信がなければ熱意も持てないし、自分で考え、決めて、責任を持って遂行するなど出来ないからです。

では、自信はどのように育ててゆくのかですが、これは次回以降でお話ししたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

研修の生産性を高める方法④

「確認とフォローで継続を促進する」研修でアクションプランを書いてもらい、改善につなげていただくというのが私の研修のお決まりになっています。

活きたアクションプランにする為のカギは、どれだけ「具体的、計測可能」なものにするかという事なのですが、おかげさまで、最近の研修では、参加者の方々は具体的計測可能を踏まえたアクションプランが書けるようになってきました。

ただし、それによって新たな課題も見えてきました。

それは、「計画を継続して実行する」という事。

本来は、決めた通りの内容を計画通り実行してくれれば、その結果を踏まえて、次への成長へのサイクルを回すことができます。

なぜなら、アクションが具体的であれば、結果も具体的になり、次への計画も立てやすくなるからです。

しかし、計画が具体的であったとしても実行されるとは限らない。

それこそが、次の課題です。

これは、会社が研修、教育をどうとらえるか?に関わってくる事なので、改善は簡単ではありませんが、「研修」のための「研修」にしないため、活きた研修にするために真剣に考える必要があります。

では、アクションプランの実行継続に導くためにはどうしたら良いかという事ですが、結論から言うと、短いサイクルで行動を第三者がサポートする仕掛けが必要だと思っています。

なぜなら、一人の力で行動を変えたり、新たに新しい事を始める事は容易ではないからです。

それは、2つの理由によります。

一つ目は以前お話しした通り、私たちの脳は「変化を嫌う」傾向があり、当事者は常に、アクションを休んだり、やめたりする誘惑にかられるからです。

また、一人で走ると視野がどうしても狭くなり、目先の成果を上げる事に意識を採られがちになります。

すると「できていない事」や「足りない事」の方に自ずと目が行き、心の中で「やる意味があるのか?」「無駄なんじゃないか?」と疑心暗鬼になり、いつの間にか、行動が止まってしまいます。

かくして、変化を嫌う「脳」の術中にはまってしまうわけです。

でも、「得たこと」や「わかった事」そして「なぜそれを得れたのか?」を深堀する機会があると例え、期待した成果がまだなかったとしても、やったことに「意味がある」事に気が付くことができます。

実は、このプロセスの中にあるプラス要因の積み重ねこそ、最終的な大きな成果に繋がってゆくのです。

それに、「やれなかった」「できなかった」という振り返りではモチベーションが下がる一方ですし、自己肯定感もどんどん低くなってゆきます。

次にもう一つの理由ですが、それは「現場の抵抗」です。

新しく取り組みが増えるという事は、やらなくてはいけない事が増える事になり、メンバーにとっては「負担」になります。

彼ら一人一人に「脳」があるので、いざ行動を始めても続ける意味よりもやめる理由を探す方が楽なので、隙あらば、多忙を理由に行動を止めようとします。

したがって、メンバーの行動に今度はリーダーが「伴走」し、意味や目的を繰り返し説き、得たこと、わかった事、小さな成果に目を向けさせてゆく必要があるのです。

これは想像以上にエネルギーを要するので、孤独な闘いの中でこれを続けるのはかなりのエネルギーが必要です。

なので、客観的な視点を持った伴走者が居てくれた方が良いのです。

伴走者はどういう人が良いのか?

伴走者ですが、本来はリーダーの上長がこの役割を担えることが望ましいのですが、実際問題は難しいと思います。

なぜなら、上に行けば行くほど、多忙であり、部下の学びよりも目先の成果に追われるケースが多く、自分の考えで「早く」部下を動かしたくなるからです。

最悪は、上長判断によって活動が止まるようなケースも出てきます。

したがって、伴走者は「利害関係のない第三者」である「他部門の上長」が良いと思います。

同じ社内であっても「直接的な利害関係」がない事で「客観視点を持ったメンター」のような位置づけで関わる事が可能になります。

また、同じ社内にいて、内情がわかるからこその利点もあります。

ただし、客観的な応援者であるためには、ある程度のコーチングスキル習得は必要になります。

これについては、また機会を改めて詳しくお話したいと思います。

ただ、役職が上がれば上がるほど忙しくなるのは世の常で、現実問題として難しい場合は思い切って、外部のサポートを活用しましょう。

外部のサポートとしては、主にコンサルタント、コーチ、カウンセラーがあります。

違いは、コンサルタントはアドバイス、解決策の提示が中心になります。

彼らの経験値で「答え」を与えてくれるわけです。

「経験の薄さから答えが見えない」新任リーダーにはティーチング中心のサポートも良いかもしれません。

次にカウンセラーですが、本来は、精神的に弱った人を話をじっくり聞きながら、正常な状態に戻すことが主な役割になりますので、アクションを前に進めるという意味では適任ではないかもしれません。

最近は「キャリアカウンセラー」「産業カウンセラー」など、本来の意味とは違う役割にも「カウンセラー」という名称を使うのでややこしいのですが、本来はメンタルの回復が主な役割です。

その点、コーチは、対話の中で相手の気づきを誘発し、成長や成果に結び付けてもらうためのサポートですので、アクションプランのフォローと言う点においては適任だと思います。

リーダーのキャリアや年齢、そして課題などを考慮してお選びいただければよいと思います。

どういう人を伴走者に使うかは別として、経験上わかっている事ですが、利害関係のない第三者の方が「話しやすい」事もあり、素直に思ったことを言える方が多いようです。

今日はここまで研修の生産性を上げる為のサポートの必要性についてお話してきましたが、学びを行動に繋げ、成果に繋げてゆきたいという風にお考えでしたら、是非「第三者サポート」の導入をご検討いただきたいと思います。

短期的、コスト的には「単発研修」より割高になりますが、中長期で見たら、安い投資になるはずです。

研修の生産性を高めるには③

研修の生産性を高める方法

今日は「研修参加者の動機づけ」をどのように高めるかについて考えてみたいと思います。

日本企業では階層に応じた研修の参加を義務付けているところも多いと思いますが、研修を「投資」と捉えた場合、それに見合ったリターンがあるか?については疑問を感じる事が多いのではないでしょうか?

その大きな要因となっているのが参加者の受講に対する「動機の弱さ」です。

どういうことかと言いますと、参加者の多くは「研修なんか参加している場合じゃないんだよ」「忙しいのに・・・」「仕事がしたいのに・・・」「しょせんは机上論だろ?」など、本心では、少なからず不満を抱えながらも、会社から言われて、仕方なく参加されている方が多いという事です。

中には「高い意識」を持って何か吸収してやろうと意欲的に参加される方もいるとは思いますが、そういう方は、基本的には既に「良い上司」であり、会社としては、そうでない方の方を変えたいという思いの方が強いはずです。

研修会社も参加者の動機が低い事は前提として、コンテンツに様々な工夫を凝らし、参加者を飽きさない仕掛けや「参加して良かった」と思ってもらえるような内容のものを用意して研修に臨んでいます。

その結果、最初は嫌だったけれど、参加してみたら、「意外と良かった」という感想を持たれる方も多いのですが、研修が良かったからと言ってそれが現場でその後「活きる」のか?と言うと、残念ながら、そうはなりません。

それは、新しい試みを職場で行うには、相手方である「部下」の協力がないとうまくいかないからです。

例えば、よくあるのが研修から帰ってきた上司が変った行動をとると、部下たちはそれを「好意的」に捉えるよりも、けげんな表情や戸惑いを見せる事も多いと思いますし、場合によっては冷たい反応や抵抗を見せる場合もあります。

そうすると「あれっ?研修の時はうまくいったんだけれど・・・」「話が違うじゃないじゃないか!!」と意気消沈して、あっという間に以前の状態に戻ってしまうのです。

なので、学びを職場で活かすにはそれ相当の決意や思いがないと難しいという事です。

一般的な研修では参加者に「HOW TO」を教える事が多いと思いますが、研修の生産性を上げる為にまず考えなくてはいけない事は、参加者のマインドセット、つまり「学ぶ動機付け」です。

それは結論から言うと参加者が研修での「学び」を「自分事」として考えられるように導けるかどうか?に尽きると思います。

私たちは、日常において目の前の事に追われる日々を送っています。

そして、気が付くと歳をとって、社会人としての終わりが段々近づいてくる。

でも、リアリティを持って、「終わり」に備え、準備している方は「稀」です。

なぜなら、「ゆでガエル」の話にあるように変化ははっきりとわかるようには起こらず、非常に緩やかに深層から進むからです。

基本的に変化を嫌う私達にはある意味強制的に意識を常に未来に向け、リアリティを持って備えるしか、変化に対応する事が出来ません。

まだ先の事だと思っているうちに手遅れになってしまうのです。

だから、日常の連続性が断絶する研修は絶好の機会であり、「変化」を意識し、「変化」に備える必要を感じてもらえる良い機会なのです。

では、どのように目を向けさせ、変化を促進するのか?という事ですが、私の研修では、

  1. 世の中の未来予測
  2. 自身のありたい姿(理想像)
  3. 会社を卒業する時の理想の状態
  4. ありたい姿、卒業時の理想の状態と「現状のギャップ」=問題
  5. 最悪の未来(会社を卒業する時に避けたい未来)
  6. 課題とアクションプラン
  7. 実行フォロー(個別コーチング)
  8. アクションの振り返り、内省
  9. リプランニング
  10. 実行

と言う流れを6ヶ月プログラムとして作って、自分の未来に向かっての行動を継続して行う仕掛けを提供しております。

研修に参加した人が職場で変化を起こすためには、ある意味孤独な闘いを強いられる事になりますが、「プロコーチ」による個別コーチングがセットされている事で参加者を勇気づけ、行動を継続する事に対し、有効に機能しています。

参加者にとって大切な事は、改善を継続する中で成果に繋げてゆくという事はもちろんの事、「自身の付加価値」向上にもつながります。

会社に従属的に身を任せる時代は既に終わっており、ビジネスマンは仕事を通じて、自分の付加価値を上げるという視点に立って、会社と付き合う時代になってきています。

私は参加者にプレイングマネージャーという立場をフル活用し、自分の付加価値を上げて欲しいといつも伝えております。

自分の未来に今が繋がると言う風にリアリティを持って考えられれば、参加者の研修に臨む姿勢も変わるはずだからです。

もし、研修の在り方、進め方に疑問をお持ちでしたら是非一度ご相談いただければと思います。

必ずやお役に立てると思います。

研修の生産性を覚醒させるには②

研修の生産性を高める方法②

今日は研修の生産性を高める方法の②として「フォーカスしたアクションプランを作る」についてお話ししたいと思います。

研修による変容が起こらない、続かない理由の一つはアクションプランの作り方が甘い事です。

どういうことかと言いますと、アクションプランが曖昧で抽象的な表現にあふれた内容になっていると、目的や実行を図る基準がないままスタートすることになるのでアクションが続かなくなってしまうのです。

例えばアクションプランに「チームメンバー全員で定期的にミーティングを行い、話し合う」という内容を書いたとします。

この場合だと目的は何か?各回のゴールは何か?いつやるのか?定期的とは?どのくらい時間かけるのか?手段は?が明確ではありません。

よく考えればわかる事なのですが、実際私の研修に参加したプレイングマネージャー達の多くは、こういう内容のアクションプランを作るケースが多いのです。

仮にこの状態で「では、みなさん頑張りましょう!!」とアクションを進めるとどうなるかと言うと、最初の何回かは実行できたとしても二回三回と回を重ねてゆくうちに内容が薄くなります。

なぜなら、「目的」や「やる事」が不明確だからです。

すると、参加者の中で徐々に「ミーティングの優先度」は下がって行き、「忙しい」「急用」など理由を挙げて参加しない者が出てきて、いつの間にか「忙しければ、他に用があれば、参加しなくても良い」という不文律が出来上がります。

かくして、人数が揃わない状態が続いてゆき、やがて形骸化し、ついには、全員が業務多忙を理由に開催されなくなってしまうのです。

なので、アクションプランを組むときには、このような項目を明確にしておく必要があります。

さら言うと「アクションプランの記入欄を項目ごとに細かく設定したほうがより「具体化」のイメージはつきやすいでしょう。

明確化を避ける理由

ただ、このような明確化の意図と重要性を事前に説明したとして、研修参加者のアクションプランは劇的に変わるのか?と言うと、残念ながら、それでも変わらない方も少なからずいらっしゃいます。

例えば、アクションプランの記入欄に「いつ?」を記入する欄があったとしても「今期中」とか「12月中旬までに」という表現をするのです。

これでは、いつから着手するのか?が曖昧で、だらだらスタートが後ろに伸びてゆく可能性が高くなります。

なぜ、具体的な内容を!!という説明をされても、アクションプランの内容は変わらないのでしょう?

それは、具体的に決めるという経験値が低いのと、さらに決定的なのは「ある心理」が働く事です。

ある心理とは「明確にするとやらなくてはならないから、約束したくない」と言う心理です。

アクションプランは実際に実行し、変化を起こす事が目的であるはずなのですが、私たちは「本能的」に変化を避ける傾向があります。

これは私達の「脳」に原因があると考えられています。

変わるということは、未知の領域に一歩を踏み出すことになり、踏み出しても期待する変化が起こらなかったり、現状よりも悪い状態に陥る可能性もあるため、脳はリスクを避けて、なるべく現状を維持しようとするわけです。

「ダイエット」や健康増進のための取り組み、例えば「ジョギング」が続かないのはこのためです。

研修に当てはめて考えると、アクションを明確にしたら、「絶対新しい行動(変化)をしなくてはならない」ので、リスクを考えると行動しなくても良い可能性を担保しておきたいのです。

特に私たち日本人は曖昧な表現をしたがる傾向が強いようで、組織の意思決定スピードが落ちる要因にもなっています。

目的と価値、恩恵を明確にし、想定できる障害を一歩一歩クリアして行く

では、変化を嫌う習性がある私達がどうしたら、新たな行動をし続けてゆけるのか?という事ですが、実行することを鮮明にイメージできるまで具体化にすることは当然の事として「リスク」よりも「目的」や実現の「価値」「恩恵」に目を向けてゆく事、そして、目的実現に至るまでの「障害」をあらかじめ想定して「心」と「対応策」を準備しておく事だと思います。

例えば、「メンバーを毎週金曜日16時に集めて1時間ミーティングをする」でしたら、当初は「強制感や義務感からくる態度」でメンバーが臨んでくることは容易に予想されますし、また、余計な事を始めようとしているのか?という「警戒心」「抵抗感」を露にする人もいるかもしれません。

また、「意見を言わない」「とりあえず、賛成する」など消極的な姿勢も想定されるかもしれませんし、チームの状況によっては、参加者の誰かがミーティングの開催を「なし崩し」にしようとする事さえあるかもしれません。

でも「障害」を予測できれば、それに備えて想定問答集のようなものを準備しておくこともできます。

どうしたら良いか?自分でわからなければ、仲間や上長に相談して対策を練ることもできるわけです。

ただし、口で言うのは簡単で、こういう障害に立ち向かってゆくには覚悟と思い、そしてエネルギーが必要になります。

今の状態を作ったのもある「リーダーである自分」であると覚悟を決めて、進んで行かなくてはなりません。

それでも、一人ぼっちの孤独な闘いは辛く、長く続けるのは難しいと思います。

なので、一番理想的なのは上長がサポートしてあげる事です。

「一緒に頑張ってゆこうよ」という伴走する姿勢を見せる事です。

間違っても、「上から」できていない事を指摘したり、厳しい事を言うだけの関わり方は、いたずらにプレイングマネージャーを追い込む結果になってしまうので、絶対に避けるべきです。

上長とプレイングマネージャがうまくいっていない、信頼関係が弱い場合もあると思いますが、そういう場合は「外部のサポート」を活用することをお勧めします。

私の経験上、「利害」のない第三者の方が、本心を話しやすく、苦しい胸の内や悩みを話すことによって元気とやる気が回復した例は少なくありません。

心当たりがありましたら、研修と合わせてご相談いただければと思います。

今日は、研修の生産性を上げるためにフォーカスしたアクションプランを作るについてお話ししました。

次回は「研修参加者の動機」について考えてみたいと思います。

研修の生産性を高めるには➀

研修において「学び」を得る事は重要ですが、学ぶだけでは、その後の成果に繋がりません。

学びを実践の場で活かすことによって、初めて研修に意味が生まれます。

そんなことは言われなくても「百も承知だよ」と思うかもしれませんが、実際には「研修の時は良かったんだけど、職場に帰ったら、研修前の状態に戻ってしまった」と言う話を良く耳にします。

そのくらい研修の効果を持続させるというのは難しい事なのです。

また、学びや気づきを行動に移してもらう為に仕掛けを作れば良いじゃないかという事で、アクションプランを講座に組みこんだりしますが、それでも残念ながら、大半はいつの間にかなし崩しになってゆくケースが圧倒的に多いようです。

なぜ、成果を生まない研修になってしまうのか?と言うと、主に下記のような理由が考えられます。

  1. アウトプットの場がない
  2. アクションがフォーカスされていない
  3. 参加者にとって学ぶ動機が弱い
  4. 確認とフォローがない

他にも

  • 「研修の目的」が明確でない
  • 役職は一緒でも抱えている課題レベルが参加者によって異なっている為コンテンツのフィット感が薄い
  • オリンピックのように「参加する事に意義がある」という認識を参加者、提供側が持っている

等がありますが、今回は先に挙げた4つについて順を追って考えてゆきたいと思います。

まず今日は「アウトプットの場がない」という事についてお話しします。

私たちは、研修やセミナーに参加したり、本を読んだりしながら、知識を「インプット」しています。

ただし、「インプット」だけだと徐々に忘れてしまうのです。

なぜかと言うと人の記憶は、1時間で半分、1日で約7割近くも忘れるようにできています。

それは、脳の中にある「海馬」という部分が、忘れるという事に大きな役割を果たしているからです。

海馬の働きを簡単に言ってしまえば、「記憶の整理をする」こと。

私達は毎日膨大な量の情報を受け取っていますが、それを全て処理し、記憶することはできません。

なぜなら、キャパオーバーになってしまうからです。

そこで海馬が 「この情報は絶対に忘れないようにしよう」「これは忘れても生活にも支障がないから、デリートしよう」といったように、情報を「残す」「捨てる」を決めているのです。

「三日前の夕食に食べたものを思い出して」と言われてもなかなか思い出せないのはそういう理由があるからです。

したがって、学びを忘れないようにするには「この情報は大切である」と海馬に認識させることが大切です。

では、どうやって海馬に認識させるのか?ということですが、おすすめは「アウトプット」することです。

つまり、人に内容を話したり、説明したり、何かに書いたりすることです。

特に「話す、説明する」は「自分の耳」で自分が話した内容を聴く事になるので理解が深まり、学びを定着させるには最適です。

同じ内容のプレゼンテーションを何回もこなすとうまくなってゆくのはそういう理由があるからです。

さらに、アウトプットの機会を事前に予定しておくと効果が大きくなります。

例えば、授業で「今日は全員にあてるぞ!!」と先生が言ってから授業を行うと、生徒はいつもより授業に集中して、先生の話を聴こうとします。

なので、私の研修においてアクションプランの一項目を、「誰かに内容を15分で話す」にしているのは、参加者の脳に研修の学びを留めて「活きた知識」にする為です。

これは「研修」だけでなく、日々のOJTの中にも取り入れることができます。

何か新人に説明をした時に「わかった?」「はい」と言う「やりとり」で終わりにするのではなく、一旦説明した後に「じゃあ、何がわかったのか教えて」というリクエストを新人に投げてみてください。

最初は意表を突かれたような「えっ?」と言う反応をしますが、繰り返し、問い直しを続けてゆくと新人は、「また、説明しろって言われるな」と考え、説明できるようになるまで理解しょうとします。

また、それに伴い、新人から出てくる「質問のレベル」もどんどん向上してゆきます。

私がファミレスや中古のゴルフショップ時代に部下育成やアルバイト育成でよく使った「手」です。

最初は、部下を試すような感じがして抵抗を感じるかもしれませんが、成長スピードは圧倒的に早くなりますのでやる価値があります。

今日は、研修での学びを「意味あるものにする」ための第一歩として「アウトプットをさせる事」であるというお話をしました。

これは、すぐ現場でできる事なので、ぜひ実践していただけたら幸いです。

次回は研修の生産性を高める方法②として「アクションをフォーカスする」をおおくりいたします。

部下の主体性を覚醒させるには⑥

プレイングマネージャー「虎の巻」

今日は「自信の能動的獲得と受動的獲得」についてお話ししたいと思います。

これまで部下の自信を育むことが主体性の覚醒に繋がるというお話をしてきました。

人の成長とはまさに自信を増やしてゆく事に他なりません。

では、その自信はどのように獲得されるのかという事ですが、まず、イメージできるのは、何かしら目標を達成できた時ではないかと思います。

努力が実り、成果に繋がった瞬間に私たちは、「自信」を感じる事が出来ます。

私は、これを自信の「能動的獲得」と呼んでいます。

日々そういう出来事があれば、放っておいても勝手に自信は積み重なってゆくのでしょうが、実際にはそうはいきません。

なぜなら、上手くいく事よりもいかない事の方が多いのがこの世の常だからです。

なので、私たちが部下を育てる上で成果が表れる場面にだけ「注目」していると、なかなか「自信」を獲得してもらう場面は訪れないわけです。

そこで、今日一番お伝えしたい事である「受動的獲得」が重要になってきます。

自信の「受動的獲得」とは「人からのメッセージ」で獲得する自信の事を意味しています。

簡単に言えば、人から「褒められる」「称賛される」「承認される」事によって得られる自信です。

これは、部下自身も何気ないひらめきやちょっとした発見によって行動に移すことも多く、本人も自覚しにくい場合もありますので、上司であるプレイングマネージャーの観察力が問われます。

どういう所を見るのか?どういうタイミングなのか?は慣れが必要なので、しばらくは意識的に「訓練」する必要があります。

自信の受動的獲得はなぜ有効なのか?

訓練してまで、「褒める」「称賛される」「承認する」等のメッセージを送る意味は、日常の中で、観察の仕方がわかると部下がプチ成長している場面にたくさん遭遇することができるからです。

「説明の仕方を変えたな」「資料の整理、工夫したんだな」「いつもより良い笑顔で接客できていたな」など、ちょっとした成長を感じたり、いつもと違う改善が見られたり、部下の何気ない変化に気が付くことがあるはずです。

それを「そのまま」伝える事で上司は、自分を見てくれている、認めてくれると思うようになり、
仕事に対するモチベーションが上がるのと同時に「自信」を持つことができます。

元々私たち人間には、「自分を見て欲しい」「気にして欲しい」という帰属認知欲求と言うものがあり、これが、信頼関係の構築や、成長を加速する要因に繋がるわけですが、これを十分理解した上で「部下育成」に活かせば、部下は、上を向いて進み続ける事が出来ます。

でも褒めるのは難しい?

「いざ、褒めようと思うとなかなかうまくいかないんですよね」
私の研修に参加したプレイングマネージャーから良く出てくる「悩み」です。

誰しも「褒められれば」うれしいものですが、無理して「褒める」必要はありません。

「褒めなくては」と思うと「なんて言おうか?」と伝える言葉を考えてしまったり、表情や言い方が「不自然」になってしまう事もあり、度が過ぎると「逆効果」になってしまう場合もあります。

なので、「感じたまま」をそのまま伝えれば良いのです。

先ほどの例で言えば、「説明の仕方変えたんだね」「資料整理工夫したんだね」「今日笑顔良かったよ」みたいな感じです。

そして、あともう一つ大切な事は、気が付いたら「すぐに伝える」という事。

なぜなら、後で言おうと思うと忘れてしまう事が多いのと、本人も自覚がなくなってしまうからです。

なので、鮮度管理も部下を承認する事においてとても大切なので気に留めていただきたいと思います。

今日は、「自信の能動的獲得」と「受動的獲得」についてお話ししました。

忙しいプレイングマネージャー育成の一助となれば幸いです。