以前お伝えした通り、オンラインイベントでキンコーズの渡辺社長と対談しました。
渡辺社長は一年間、コーチングを受けた後、現在、ご自身もコーチングを学んでおられ、幹部社員との定期的な1on1によって、会社の風土を自ら変えてゆく活動をされています。
なぜ、渡辺社長がここまでコーチングに惹かれていったのかという事ですが、コーチングを受けてみて、コーチングの真髄に触れることができたからだそうです。
その真髄とは何かというと「自分をエグル」という事だそうです。
「自分をエグル」とは、もしかして「ドM」?と思われたかもしれませんが(私だけか?)、そうではなく、自分自身と「とことん向き合う」という意味です。
改めて、「自分をエグル」という言葉をかみしめてみると、「コーチング」の核心を突く、素晴らしい表現だなと感じました。
一般的に経営者の方々にコーチングをお勧めした時に還ってくるのは、「何をしてくれるの?」または「何をされるの?」もっと言うと「なんで、私がコーチをされなきゃいけないの?」と言う反応です。
これは、従来のスポーツコーチ等による上下関係のイメージが強いのと「コーチング」を言葉で説明するのが難しいので、誤解されやすいという事が原因だと思われます。
また、何をやるかは理解できたとして、自分で自分をエグルのに、なんでわざわざ他人にお金と時間を投資しなくてはならないの?というのも良く抱かれる疑問かもしれません。
ですがここに「コーチ」をつけることの意味があります。
どういうことかと言うと、自分だけでは自分をエグレないからです。
と言うのは、私たちにはそれぞれ、考え方や思い方に「癖」があり、何も刺激がないと一定の枠の中で思考するようになり、固定しがちになるからです。
そして、その「癖」は自分を無意識に正当化する「癖」であり、自分を守るための「癖」でもあります。
なので、時折コーチを使って、本当にそうなのか?なぜなのか?他にはないのか?を深く掘り返して思考したり、「ここはどうなの?」「どう考えているの?」「あなたが相手の立場であったら、どう思うだろうか?」など視点を変えてもらう事によって、その人が居る「安心領域」から引きずり出してもらう事で、視野が広がり、今まで「見えていなかった」、あるいは、「見ようとしていなかった」発見があり、結果として最適な判断ができるようになるのです。
勿論、セルフコーチングと言って、自分で自分をコーチすることもそれはそれで有効ですが、やはり、限界があります。
なぜなら、先ほどお話しした通り、人間には自己防衛本能があり、本当の意味で「自分が見失っていたもの」「見たくないもの」に到達することが不可能に近いからです。
したがって、客観者であるコーチがエグル材料を提供することは、一人ではたどり着けない答えを導くうえで大きな意味があります。
しかし、経営者の方々は総じて多忙です。
とてもじゃないけれど、コーチングのために時間は取れないよというのも理解できますが、多少、無理してでも「定期的に立ち止まった方が結果として早くなる」事も多く、新たなフェーズに向かう上では「コーチを使う」という事にチャレンジをしてみる価値は十二分に「ある」のではないでしょうか?
ちなみに、渡辺社長ですが、次にどんなコーチをつけたいか?という質問に対して「子供も良いかも」とおっしゃってました。
子供なのでコーチングのスキルはないけれど、曇りのない目で見て、素朴に感じた疑問をぶつけられたら、何か、新しい気づきが得られるのではないか?と思ったそうです。
それを聴いて思い出したのが、以前お聞きした、ソフトバンクの孫さんのお話です。
孫さんはなんとコーチを7人つけていて、そのうち一人は女子大生コーチだというお話でした。
コーチングの真髄を理解しているからこそ出てくる発想ですね。
さすがです。