組織を蝕む「慢性的思考停止」癖

誰もが陥る「慢性的思考停止」癖の背景にあるもの

こんにちは、カンパニーコーチの青木栄明です。

今日は「慢性的思考停止」癖についてお話します。

聞きなれない言葉だと思いますが、この「慢性的思考停止」癖というのは何か?と言うと、「本来たどり着くべき所まで考えずに途中で考えることをやめてしまう癖がついており、本人も自覚がない状態」を言います。

と言うか、私が勝手に定義付けしたのですが・・・。

具体的にはどういうことなのか?を私が提供している「成長的問題解決」研修の例を挙げてご説明したいと思います。

この研修は2日間かけて「自分が描く理想像」(例えば、チームや自身のありたい姿)から「近未来のあるべき姿」を考え、現状とのギャップを埋めるアクションを考え、実行に移すというもので、基本的には「マネージャー層」の「思考力」と「主体性」を引き出す目的で実施しています。

2日間で一枚のアクションプランを完成させることが研修のゴールなのですが、参加者がアクションプランにあらかじめ設定されている「問い」に答え、記入をしてゆく中で「思考停止」が頻繁に起こります。

例えば「自分の抱えてる問題は何か?」という問いに対し、「問題」を書ける方は、ほぼほぼいません。

「問題」は「あるべき状態と現状のギャップ」を言いますが、大半の方は「問題」ではなく「現状何が起こっているか?」を書きます。

仮に自チームのあるべき状態を「部下との信頼関係が築かれており、チームが一丸となって目標に邁進している」だとします。

また、それに対し現状は「部下との信頼関係はなく、メンバーがバラバラに動いており、チーム力を発揮しているとは言えない」だとすると、よく「問題」として書かれがちなことは、「部下とのコミュニケーションの時間が不足している」等、現状起こっている現象についてです。

これを「問題」として設定してしまうと、改善のためのアクションは、「部下ともっとコミュニケーションの時間を増やす」とか「一日一回話をする時間をとる」等になってしまい、浅い表面的なもので終わってしまいます。

また、仮にやったとしても期待しているような変容は起こらず、忙しさにかまけて、いつの間にか立ち消えになりがちです。

本当の意味で「問題」を考えるのであれば、どうして、そうなっているのか?を深堀りして考える必要があり、先ほどの例でいうと「信頼関係がないバラバラの状態」になっているのはなぜか?という事を考え、さらに自分の問題と自分以外の問題に分けて考えてみる事が重要です。

もしかしたら、メンバー間の仲が悪いのかもしれないし、面倒くさがって、関わることを避けている自分のあり方に問題があるのかもしれません。

問題は、得てして、当事者からすると、「不都合なこと」や「触れたくないこと」「痛いところを突かれる」ようなものが多く、表面に「露見している現象の深層」に隠れています。

でも、それを表に出し、メスを入れない限りは、同じような現象が姿かたちを変えてエンドレスに続くようになり、本質的な問題解決はできず、チームも成長しません。

私たちが思考停止をする理由は「考えられない」事、「考える力がない」事が原因ではなく、大変なこと、面倒くさいこと、不都合なことを避けたいという自己防衛本能に原因がある場合が多く、表面化させるには、利害関係のある内部からのアプローチでは難しい場合があります。

それは、距離が近い分、少なからず忖度が働くからです。

なので、お金はかかりますが、穴が開いたザルで水をすくい続けるより、第三者の力を借りて修復したほうが結果的に安く上がると思います。

もし、組織の問題を解決したいとお考えでしたら、一度ご相談いただければと思います。

次回は、似て非なる「対話」と「会話」についてお話ししたいと思います。