コーチングは今から25年前にアメリカから齎されたコミュニケーションスキルです。
学校の先生や敏腕営業マン、リトルリーグの指導者などコミュニケーションの達人達が持っている良い要素を集めて、体系化したことで出来上がったものです。
したがって、本来は目新しいものではなく、既にあるもを寄せ集めたスキルであると言っても良いと思います。
そんな、コーチングですが、実は万能ではなく、コーチングに向いている人とそうでない人が居ます。
自らの意思で活路を開きたいという目的意識と熱意のある人には機能しますが、それ以外の人にはあまり効果がありません。
私はコーチングの魅力に惹かれて今から約10年前にこの世界に入ったわけですが、コーチングを知れば知るほど、モヤモヤが募ってゆきました。
それは、コーチングに向いている人ってこの日本に「どのくらいいるのだろうか?」という事です。
私が思うに残念ながら、そう多くはないと思っています。
参考になる指標としてアメリカのギャラップ社が調査した結果で、会社の中で熱意を持って仕事をする人の比率を調べた調査があります。
その調査によると、アメリカが31%に対し、日本はなんと6%しかいないという残念な結果が出ています。
この結果にどの程度の信ぴょう性があるかはわかりませんが、昨今の経済発展力の違いを見れば、そこそこ妥当性があると言えるのではないかと思います。
コーチングは「熱意のある」人には有効なスキルと言えるので、今の日本でコーチングが有効に機能するのは6%の人達であると言えます。
そんな、6%の人にしか効果のないスキルなんて要るのだろうか?と疑問に思ったわけですが、コーチングが目指すものは人が持つ可能性を無限に広げてゆく事であり、一人一人が尊厳を持って生きれるようになる事です。
これは、私たち日本人にも必ず必要な事であり、そんな世界を実現したいと言う思いも持っています。
じゃあ、どうするのか?という事ですが、ある日ふと「日本人が持っているある特性」を加味すれば良い事に気が付きました。
それは、「カスタマイズ能力」です。
日本人は太古の昔から、外国から来た「文化」「風習」を積極的に取り入れ、自分達に合った形にカスタマイズしてきました。
したがって、「コーチング」も「日本人向けにカスタマイズ」してゆけば良いのです。
口で言うのは簡単で、具体的にどうやってカスタマイズするか?という事ですが、私にはひとつイメージしている事があります。
それは「自信」を育てる事からスタートする事です。
なぜ、「自信」なのかと言うと、数々のビジネスマンに関わった結果、感じたのが「自信の欠乏」だからです。
そして、熱意のある人を6%にとどめている最大の理由である「日本人の消極的気質」も、この「自信のなさ」から起因していると考えています。
私が認識している日本人の消極的気質とは、大体以下のようなものです。
減点法主体の評価
学校教育の在り方が変わり、最近は少し変わってきたと思いますが、大人の社会は相も変わらず減点評価が蔓延っていると言っても良いと思います。
つまり、どれだけミスをしないか?が重要な指標なのでリスクを負うような行動を避け、できるだけ「受け身」で対応するのが、無難であると考える。
したがって、自ら考え、決めて、発言したり、行動することを避けるようになります。
さらに「出来たこと」や「成果」よりも「できなかった事」「反省点」の方に眼が生きがちで一般的な日本人の自己肯定感、自己効力感が低い理由に繋がっていると思います。
横並びを好む
人と違う事を恐れ、同じである事に安心感を抱く。
多くの日本人は必要以上に「他人の目」を気にする習性があります。
これが、発言や行動の自由を制限し、度を過ぎると「同調圧力」を生みます。
集団の中で「浮く事」を恐れ、他人の顔色を窺って感情を害さないように振る舞います。
自分の本心を言わない
これも「横並び」を好む性質に関連している事ですが、「本音」と「建て前」が当たり前のように日常のコミュニケーションに溢れ、本心を語らない習慣が定着しています。
本心を言う事で相手に反感を買い、「自分が嫌な思いをしたくない」と言う思いが強いのだと思います。
その気がないのに「検討します」と答える習慣は生産性を落とす最悪な習慣だと思っています。
曖昧を好む
これは、「アクションプラン」についてお話しした時にも出てきたことですが、決める事を避ける意識が強いようです。
常に「逃げ場」を残しておきたいという思いから、曖昧な表現を好むのではないかと感じています。
「答え」を欲しがる
言い方を変えると「考える事」をさぼる気質と言っても良いかもしれません。
長きにわたって、忠実性、勤勉性が日本人の強みであったことの弊害と言う言い方もできるかもしれませんが、言われた通りの事をやるという事に慣れて過ぎていて、自分で考える事にストレスを感じる方も多いようです。
これも長年染みついた事であるので払しょくするのは並大抵の事ではありません。
他にもあると思いますが、思いつくまま5つの気質を挙げてみました。
したがって、以上のような気質を社会が形成している事により、自信のない人が「量産」されているという風に私は捉えています。
しかるに日本人向けのコーチングは、「自信の育成」から始める必要があると言うのが今見えている私の結論です。
例えば、自転車を一人で乗れるようになるために「補助輪」をつけるようなものです。
本来は、自分で自転車が漕げ、自分の意識で行先を決められる人を対象とするのがコーチングなのですが、自分で自転車を漕げない人が多いので、まず漕げるようにしてあげないといけないわけです。
自信がなければ熱意も持てないし、自分で考え、決めて、責任を持って遂行するなど出来ないからです。
では、自信はどのように育ててゆくのかですが、これは次回以降でお話ししたいと思います。
本日もお読みいただきありがとうございました。