プロコーチが勧める「コーチング研修」の選び方

「答えのない時代」と言われるようになって、組織リーダーに求められるリーダーシップのスタイルも従来のトップダウン型から「部下の潜在能力を引き出す」コーチ型にシフトしてきています。そんな中、教育研修においても「コーチング研修」はもはや必須になっています。
現在、「コーチング研修」は研修会社をはじめ様々なで提供されていますが、何を基準に選んだら良いのかは「迷う」ところではないでしょうか?
今回は「コーチング研修」選びのポイントについて考えてみたいと思います。

「目的」と「期待するGOAL」に合った研修内容かどうか、「研修後のアウトプット」としては何を期待するのか

まずは、どのような目的でコーチング研修を受けさせたいのかを明確にし、その目的に合った内容の研修かどうかを確認することが重要です。そして、研修が終わった後、参加者にどうなって欲しいのか?という「GOAL設定」と、GOALに繋がる「アウトプット」を設計しておく必要があります。
特に学びっぱなしではなく「アウトプット」の仕掛けを用意する事で、学んだ知識を「定着」させる効果があります。

下に代表的な「目的」「GOAL」「アウトプット」を挙げてみました。

①コーチング研修の初級編

目的

まずはリーダー達にコーチングの基礎的な知識を学んで欲しい。

GOAL

コーチングの目的や効果、どんな要素があり、構造になっているのかを他者に説明できる。

アウトプット

全体ミーティングで60分使ってメンバーにレクチャーし、フィードバックをもらう。

②コーチング研修の中級編

目的

対象者にコーチングのコミュニケーションを身に付けてもらい、少しでも部下育成に活用させたい。

GOAL

職場で1on1が開始できるようになる。

アウトプット

アクションプランで具体的な計画を作り、実施する。

③コーチング研修の上級編

目的

研修参加者であるリーダーに、部下の能力を引き出すリーダーになってもらいたい。

GOAL

コーチングを習得し、コーチングを用いた関わり方ができるようになる。

アウトプット

  1. コーチングの要素である「アクティブリスニング」「承認」「質問」等のスキルを計画的に実施できるようなアクションプランを作る
  2. アクションプランに対する振り返りを「コーチ」と一ヶ月に一回行う
  3. 半年後、部下達や上司からのリーダーに対する評価が好転する

④コーチング研修の最上級編

目的

社内コーチを育成し、風土改革を起こしてゆきたい。

GOAL

  1. 一年後の組織診断の結果が大きく好転している
  2. 数値指標が好転している(売り上げ、残業、離職率等)
  3. 外部(取引先)からの評価が変わっている
  4. 半年後、ICF(国際コーチング連盟)の資格取得者が○名出た。

アウトプット

  1. 受講者が社内でコーチングを開始している
  2. ICF(国際コーチング連盟)の資格取得に向かって、各自が行動を計画している
  3. 参加者同士が自発的に「リフレクション」の機会を計画している

①初級編から④最上級編に向かうほど「期待値」は高く、内容も手厚くなっています。

会社として「どこ」を目指すのか?を考えてみてください。
まずは①から入り、順序だてて④に向かって計画してゆくのも良いと思います。

講師の実績、経験の有無

講師の実績や経験を確認し、信頼性の高い講師による研修を選ぶことが大切です。
さらにもう一つ重要な要素があるとしたら、その講師に「教育に対する思い」があるかどうかです。
なぜ、講師をやっているのか?はその人なりの理由があると思いますが、「思い」の有無は、研修参加者への関わり方やメッセージの伝わり方にも違いを生みます。
研修を決める際に「講師候補の人」と面談する機会があれば、「なぜ、この仕事をしているのか?」という質問をしてみてください。
どこかで聞いた事のある教科書のような回答ではなく、その人なりの「言葉」で話せる人であれば、「思いのある人」と考えても良いでしょう。
それも「目的」によって選び分けていただければと思います。
例えば、目的のところで書かせていただいた①「知識を教える」というレベルであれば、実務でコーチングをやっていない「講師」や「コンサルタント」でも十分かなと思いますが、「知識がある」のと「できる」には大きなギャップがあるので、目的の②以降のように、参加者に対し変容、つまり「できる」ようになってもらいたいと考えるのであれば、経験値の高い「プロコーチ」である方が望ましいと思います。
目安としては、ICF(国際コーチング連盟)のPCC(プロフェッショナル認定コーチ)以上がお勧めです。
ICFは一般の方にはあまり知られていませんが、国際的に認知されているコーチング専門機関であり、資格取得には①プロコーチとしてのコーチング実施時間(PCCは500時間以上)と、実際に「コーチングを実施した音声」二本、さらに知識テストの合格が必要です。
つまり、経験と知識の双方が伴っていないと合格できない資格であると言えます。

また、組織で働いた経験があるかどうか?マネジメントの経験があるかどうかも重要なポイントです。
一口に「コーチ」と言っても、「得意分野」が違います。候補に挙がった人が「組織向け」のコーチングに適した「コーチ」なのかどうかという視点も持って選んでください。

最後は候補に挙がっている「コーチ」の「プレゼンス」(存在感)「教え方のスタイル」や「考え方」「パーソナリティ」を考慮した上で「自社に合った」コーチ選定をすればよいと思います。

研修の形式

これも「研修の目的」によって異なります。例えば、知識を伝えるような研修であれば「教室形式」や「オンライン」授業でも良いと思いますが、意識変容、行動変容に導く為の研修であるとするならば、参加者同士の対話やワークなどで「自分の頭で考える」「自分の言葉で話す」「相手の話を聴く」「自分以外の視点に触れる機会がある」など参加者が「気づく」、参加者から「引き出す」仕掛けが多い設計が望ましいでしょう。
プログラムの中で「集合」「一対一」「グループワーク」などが設計されている事、そして「意図」を確認しておく必要もあります。
良い講座は「なぜ、そのスタイルをとるのか?」という質問にも説得力のある理由があるはずです。

研修のスケジュールや場所

目的によって、「コンテンツ」の「長さ」や「会場」「実施手段」は変わります。やはり、これも目的をフィックスした上で考える必要があります。さらに参加者の事情、繁忙期や異動がある時なども考慮してスケジューリングをしましょう。

研修予算

予算の大枠は最初に「潰しておく」必要があります。よくあるのが「目的」と「予算」が合わないケースです。決裁者が内容に対しては賛成していたのに、見積もりが出た途端反対されるというパターンはよく起こります。二度手間、三度手間とならないように「予算ありき」であることも念頭に置いて「目的別」に「期間」「価格」で3パターンは考えておいた方が良さそうです。
その上で「落しどころ」を決めましょう。

株式会社プレジャーポケットでは、「目的」から実施に至るまで「営業マン」ではなく、実際に講義を担当する「経験豊富なプロコーチ」がご相談に乗らせていただきます。もちろん、「相談は無料」です。お気軽にお問い合わせください。