プレイングマネージャーの育成③


こんにちは、カンパニーコーチの青木栄明です。

私はスポーツが大好きなので、連日、北京オリンピックにおける日本人選手の活躍を楽しみにしています。

スキーしか知らない世代の私が今一番好きな競技は「スノーボード」です。

平野歩夢選手が逆転で「金メダル」を獲ったシーンはまさに「鳥肌」ものでした。

そんな中、平野歩夢選手の大活躍を見ながら、気付いた事があります。

それは、「準備をやり切った人」の自信は揺るぎないんだなぁという事です。

これはボクシングの「井上尚弥」選手にも感じる事なのですが、「緊張する隙」すら、なくすくらい、自分を追い込み、乗り越えている印象があるのです。

この域に達するには、どのくらい自分と向き合って、闘ってきたのだろう?と思うのですが、私には想像つかない領域です。

オリンピックのような大きな勝負の場は、私達に様々な気づきを与えれくれます。

良かったら、そんな視点を持ちながら、残りの競技、楽しんでみて下さい。

存在を認める

前回は部下との関係性を強化する上で「帰属認知の欲求」が鍵になるというお話をしました。

この欲求を踏まえた上で

  1. 認める
  2. 繋がる
  3. 本音で対話する

と言うステップを踏む必要があるという事でしたが、今日は「1」の認めるについてのお話しをしたいと思います。

「認める」にも3つの段階があります。

  • 存在を認める
  • 行動・成長を認める
  • 成果を認める

というものです。

成果を認めるという事については、比較的認識しやすいのですが、そんな場面はそうそうお目にかかれないですよね。

従って、ここで重点的にお話ししたいのが、「存在を認める」という事と「行動を認める」という事についてです。

まず、今日お話ししたいのが、「存在を認める」という点についてですが、その人の「長所や強味」を認めるという風に置き換えても良いと思います。

長所とはその人の性格で「優れている所」であり、強味は、その人が発揮できる「性質」「能力」、言わば「武器」のようなものです。

これは言うが易しで、身近に居る人の長所や強味はなかなか気が付かないものです。

その証拠に「一番身近な存在である」はずの自分の長所や強味をどれだけ認識しているでしょうか?

私は良く研修で「自分の長所と強味を20個挙げる」という課題を出しますが、20個挙げられる人は全くと言っても良い程いません。

同じように自分の部下の長所や強味を20個挙げられる人も同様です。

なぜ、なのでしょうか?

本当は私達1人1人には20個どころか、100以上の長所や強味があります。

なのに、見言い出せない理由は、・・・・・長所や強味を「見ようとしていない」事にあります。

理由として私は3つの要因があるかなと思っています。

一番目は、私達「日本人の特性」とも言うべき、ある種の誤解が招いた結果です。

どういう誤解であるかと言うと「謙虚であれ」という事に対する誤解です。

「謙虚」は私たち日本人が大切にしてきている「美徳」であり、辞書を紐解いてみると「自分の能力・地位などにおごることなく、素直な態度で人に接するさま」と書かれております。

これは、とても素晴らしい事ですが、はき違えると「欠点や改善点」ばかりに目が行き、その人の長所や強味を見えにくくしてしまうという要素も含んでいます。

したがって、ポイントになるのは謙虚さに対する「真意の理解」と表現の仕方です。

他人に褒められた時の反応として、私達はよく「私なんかまだまだです」「大したことはありません」などという表現をしてしまいますが、これは、「謙虚」のようで「謙虚」ではなく、自分を「卑下」していることになります。

そして、こういう言葉を知らず知らず、当たり前のように口にし、耳から取り入れることで、ある意味、自分を「大したことないんだ」「だめなんだ」と洗脳しているのです。

 例え、本心ではそう思っていなかったとしても頭の中は「自分に対するネガティブ」なワードで溢れてしまうわけです。

では、正しい謙虚さの表現はどういうものかと言うと「ありがとうございます。すごくうれしいです。さらに、努力いたします。」なんです。

少し抵抗感があるかもしれませんが、本来こういう反応こそ、「謙虚」なのです。

言われた言葉を「素直」受け取る姿勢です。

日本人が考えがちな謙虚さの姿勢には、この大切な「素直さ」が欠けているのかもしれません。

次に二番目の理由ですが「謙虚であれ」と言うことに少し関連しているかもしれません。

それは私たちが子供のころから受けてきた「減点法的」な標準化教育の結果だろうという事です。

どういう事かと言うと 、私達は、人と違うこと、出来ない事は良くない事で人と同じようにできる事が良いとされてきました。

なので、ダメなところや改善すべき事に先に目が行く習慣が根付いている。

長所や強味を見るという事は、真逆の事なので習慣にない事はなかなか出来ないということです。

どうでしょう?

多少なりとも心当たりがあるのではないでしょうか?

私は野球部だったんですが、怒られた記憶しかありませんし、「いかに怒られないようにするか?」を常に考えていたような気がします。

そして、三番目の理由は「レッテル」です。

一旦人と出会い、一緒に過ごす時間が長くなってくると「あの人は●●な人」というように、その人の「一部の個性」をあたかも全体を表しているかのように一言で表現しようとします。

そうするとその人のイメージが固定化されて、ある種の「レッテル」が貼られた状態になります。

私達人間は、一言で表現できるほど「単純な存在」ではないはずなのに、その人に対するイメージを固定化してしまうのです。

そうすると他に持っている長所や強味が見えなくなる。

これは、私たちがお互いに「貼り合っている」と言っても良いと思います。

以上3つの理由から「自分と人」の長所と強味が見えなくなっているというお話をしましたが、それでも「存在を認める」事は関係性を築く上でとても大切な事です。

では、なかなか見えない長所は強味はどうしたら、見えるのでしょう?

おすすめは、少なくとも5人くらいの人に長所や強味を聞いてみるのが一番手っ取り早いと思います。

ただし、「あいつの良い所なんだと思う?」と聞いても中々思い浮かばないかもしれません。

そんな時はこんな質問を使ってみて下さい。

「最近あった事であいつの事、良いなぁ、と思った事はどんな事?」

こうすると、思い出すシーンが限定され浮かびやすくなります。

そして、必ずと言ってよい程、意外で新たな気づきを得られるでしょう。

気づきを得ると「あいつ」に対する新たな見方が出来るようになり、認める事も容易にできるようになるはずです。

後は、伝える勇気だけ。

いつもと違う行動をするわけなので、照れくさいような、ぎこちないような感じがすると思いますが、大切な事であると認識して素直に伝えてみましょう。

例え、期待する反応がなかった(喜ぶなど)としても、素直に表現が出来ないだけかもしれませんので続けてみてください。

そうすると、次第に変化が現れてくるはずです。

部下の意識・行動変容を促進する。

これも大切なリーダーの仕事です。

次回は「行動承認」についてお話ししたいと思います。