研修の目的と立ち止まる意味

研修を開催する時に最も考えなければいけないことは「何のため」にやるのか?
つまり「目的を明確にする事」です。

そのためには、研修に参加する人たちの「課題」をおおよそ把握した上で「どうなって欲しいのか?」が明確になっていなければなりませんし、研修実施後の「変容に対する期待値」が少なからず見える必要があります。

しかし、現実的にはなかなかそうならない状況が多いようです。

それは以下のような理由が挙げられるからです。

参加者の要因

  • 研修課題が自身の課題であると認識していない
  • 仕事の一環として「義務感」で参加している
  • 研修で新たな知識やスキルを身に付けても職場に帰ると元に戻ってしまう
  • 何かを得ようと言う姿勢でなく、「斜に構えて」参加している

企画要因

  • 参加者の抱えている問題を考えず、「知識がないから、」「やり方がわからないから」できていないと考えている
  • 研修が研修会社の提供する汎用性のあるコンテンツである
  • 研修会社選定の決め手が「知名度、企業規模」である
  • 参加者の課題を研修会社と詰められていない
  • 一回こっきり、しかも短時間の構成である
  • 効果測定ができていない

研修担当者の要因

  • 本来の目的でなく、主眼が「自身の責任回避」に向いているので参加者の課題とコンテンツがフィットしているか考えられていない
  • 参加者の課題を認識できていない
  • 意欲を持てず、こなさなくてはいけない業務になっている

「予算が少ない」「業務が多忙である」「会社の方針が明確でない」などの理由から、研修の企画や実施に労力を割けないのは、ある意味仕方ないのかもしれません。

しかし、どこかで見直しをしないと、結果として無駄なコストと時間をかけるだけになり、良いことは一つもありません。

また、これから社会が急加速で変わってゆく中で「時代に合った教育」にシフトしていかないと、変化に対応できない組織になってしまう恐れがあります。

私が感じているコーチングにおける本質のひとつに「立ち止まると早くなる」というものがあります。

私たちの日常は、ともすると目に前の事に追われる日々の連続になりがちで、軌道を修正するきっかけがありません。

走り続けていると「視野が狭く」なり、道から反れていても気が付かなくなるからです。

なので、定期的に立ち止まって「行先」「現在地」「手段」「次回の到達点」を確認しながら、進んだ方が無駄な行動や時間の過ごし方をせず、効率的に進んでいけるようになるのです。

本当は「意味がない」「無駄だ」と思っていても、走り続けているとだんだん「不感症」になり、「流れを変える事」はとても難しくなって行きます。

典型的な例が「定例会議」です。

研修などで良く「無駄な会議」があると感じているか?を参加者に質問する事がありますが、90%以上の方が手を上げます。

業務の生産性向上という事を考えれば、参加者の時間を同時に拘束する会議のあり方は、真っ先に手を付けるべきことではないかと思いますが、あまりにも慣習化しすぎている事で違和感すら感じなくなってしまうのです。

研修もある意味同じであり、「目的は何か?」「研修によりどうなって欲しいのか?」「効果をどう図るか?」は定期的に見直した方が費用対効果の高い研修になります。

それでも「忙しくて」という方は、「忙しい」を俯瞰して、分解してみる事をお勧めします。

私が今までクライアントにかかわってきた経験上、「心で感じている忙しさ」>「実際の忙しさ」であることが多いからです。

特に嫌だな、大変だなと思っていることは、実際にかかる負担よりも大ごとに考える傾向があり、物心ともに余裕をなくす要因になっています。

せっかく手間暇かけて実施する研修なので、実りあるものにするために、まずは立ち止まる時間を創ることをやってみてはいかがでしょう。

きっと、「立ち止まった方が早くなる」を実感していただけるのではないかと思います。