カンパニーコーチの青木栄明です。
私は日頃から企業のリーダー育成に関わらせていただいているのですが、今日は、「プレイングマネージャーの育成」という事についてお話ししたいと思います。
時代の変化やコロナ禍によって、私たちの生活様式も変わる中、企業における組織運営にも変化が求められています。
そして、企業存続・発展の鍵となるのがミドルマネージャー(中間管理職)の存在です。
なぜなら、現場に一番近いリーダーであり、彼らの部下に対する関わり方によって、パフォーマンスが大きく変わってくるからです。
しかしながら、日本企業におけるミドルマネージャーは、ほぼほぼプレイングマネージャーであり、プレイヤーとしての重責を担いながら、部下のマネジメントをしなくてはならないという状況に置かれています。
またさらに、コロナ禍によって直接対話の機会が減少し、その上で部下の成長を促し、チームとしてのパフォーマンス向上を迫られているのです。
このようにミドルマネージャーを取り巻く状況は難問だらけなのですが、実はそれ以上に大きな問題があります。
それは「プレイングマネージャー」であることが、会社側やミドルマネージャー双方にとって「変化を起こさない言い訳」になっている事です。
会社側にとっては「自分が経験したことのない問題」に対し、正解を持っていない上、ミドルマネージャーのプレイヤーとしての役割に大きな価値を感じている為、あまり強く言えない、負担を強くする事によるパフォーマンス低下を招きたくないという思いがあります。
また、ミドルマネージャー側もそれがわかっているので本当の意味で「変わる必要性」を感じず、現状維持が続くという状況が作り出されているのです。
「わかっちゃいるけど、変われない」というのは、このように「お互いの利害」が噛み合う結果によって生まれているのです。
「変わらない」言い訳をなくすには?
では、「変わらない理由」がある中でどうやってこれからの時代に合ったミドルマネージャーを育成してゆけば良いのでしょう?
まず考えるべき事は「企業」や「ミドルマネージャー」双方も「未来予測」の中から「健全な危機感」を抱き、「変わる」事の必要性を理解する、納得するということです。
どういう事かというと多くのプレイングマネージャーがプレイヤーとしての役割に重きを置いて働き続けるとまず、プレイヤーとしてのパフォーマンス低下という問題が起こってきます。
加齢によるスキルの低下はどんな人間でも避ける事が出来ず、そこで勝負し続けてゆこうとすると将来辛くなるからです。
また、スキルに関しては、今後も新しいプログラミング言語が登場してくることが予想され、得意分野が「オワコン」になって行くリスクもあります。
更に言うと、AIの発達により、ますます活躍する分野が狭くなってゆく可能性もあるのです。
そうすると部下は育たず、プレイヤーとしてのパフォーマンスが落ちてゆくわけですから、会社としても非常に困ったことになるのではないでしょうか?
また、プレイングマネージャーが個人としても考えておかなくてはならない事もあります。
それは「長生きリスク」です。
日本人の平均寿命は未だに上昇傾向が続いており、人生100年時代が現実になろうとしています。
「長く生きる」という事は、それだけ「お金」が必要になり、今所属をしている会社で「定年」を迎えた後も20年くらいは働く必要性が高まってきたと言えます。
この、定年後も「働く」という事から考えると2つのアプローチが考えられます。
一つ目は「時間を売る」という考え方でもう一つは「価値を売る」という考え方です。
果たして、どちらが良いのでしょうか?
私は「価値を売る」という働き方の方が断然良いと考えています。
それは、「時給×時間」でお金をいただくより、価値でお金をいただくわけですから、個人としての生産性はもちろん、自由度も高くなると思うからです。
確かに技術者としての価値を売る事も可能だと思いますが、私はプレイングマネージャーが獲得できるもう一つの価値の方に目を向けていただきたいと思っています。
それは、部下を育てる力やチームのパフォーマンスを向上させる事の出来るリーダーとしての価値です。
なぜならば、世の中に起きる大半の問題は「人が起こす」ものであり、未来永劫なくなる事はありません。
そして、これは組織内においても同様であるからです。
従って、人の問題に適切に対応でき、チーム力を向上させることができる「経験と知見」は、企業のみならず、社会から求められる大きな価値であり続けるという事です。
もちろん、「昔取った杵柄」でいつまでも勝負しようという姿勢ではなく、謙虚に「経験と知見」を更新し続ける必要はありますが、その手段は「覚えたり」、「体を使って体現する事」ではないので、衰える事は基本的にはありません。
基本的に「学び続ける意思」と「考える力」「感じ取る力」「コミュニケーション能力」「新しいことに挑む意欲」があれば、
いつまでも活きた「経験、知見」として存在し続けてゆきます。
以上の事から、プレイングマネージャーがリーダーという役割に本気で向き合う価値があるという事はおわかりいただけたのではないかと思いますが、時間的な制約が多い中でどうやってリーダー能力を身に付けて行けば良いのでしょう?
私は
- コミュニケーションの生産性向上
- コーチング能力
- 個別対応
- グラデーション型育成
- リーダーコミュニティ
の5つが鍵であると考えています。
これについての詳細はまた次回お話したいと思います。