プレイングマネージャーの育成⑧

こんにちは、カンパニーコーチの青木栄明です。

私事で恐縮ですが、昨日、小学五年の長男が所属する野球チームの練習試合がありました。

結果は16対6で大勝し、来週から始まる大会に向けて、良い準備が出来たなぁと思っています。

このチームは、最近やっと、勝てるようになってきましたが、つい3か月前まで試合をしても全くと言ってよい程勝てないチームでした。

目的意識を持たせ、個人の目標を設定してから、徐々にチームも選手も成長が早くなり、結果に繋がり始めています。

意識改革において、まずやった事は、「どんなチームにしたいのか?」「それはなぜなのか?」「そのために自分は何をするのか?」「どんな選手になりたいのか?」「それはなぜなのか?」「そのためには何をするか?」について考えてもらい、自発的な行動を引き出すという事です。

各々が全員の前でコミットして行動の約束をするので、実行度が高く、今のところ、努力が成果に繋がっているという状況です。

そして、新たに取り組みを始めたのがチーム創りです。

今やっているのは、練習や試合がある時に三人づつリーダーを決め、全員で話しあって生まれた「スローガン」を実行する為に一人一人が何をするのかを約束させ、結果を振り返り、他のメンバーからもフィードバックを受けるというものです。

こうする事で自然と対話が生まれ、助け合える本当のチームになりつつあります。

まだまだ、課題は多いのですが、私は、いつか彼らがこの経験を活かして 社会で活躍して欲しいと思っています。

そのために親父コーチは、毎週末、腰痛と闘いながら、彼らと一緒に汗を流し続けます。

グラデーション型育成

前回は部下の発達段階に合わせて、対応を変えてゆくシチュエーションリーダーシップにベースを置いてお話ししました。

今回はその発展型である「グラデーション型育成」についてお話しします。

部下に個性や能力に合った育成を続けてゆくとスピードに個人差はあっても、その人なりの変化が起こってきます。

つまり、これが成長なのですが、この部下の変化に合わせて「働きかけ」を変えてゆくのが、「グラデーション型育成」の考え方です。

人は時間の経過と共にキャリアを重ねて行きます。

そして、その人がどんな成長を告げてゆくかは、人それぞれ異なるわけです。

従って、上司が部下の成長に合わせて持っている情報や知識、必要なスキルを出し入れできれば、どんな部下であっても成長を加速化することができます。

ただし、私達はロボットではありませんので、階段を上がるように成長してゆくわけではありません。

例えば、部下に知識と経験が足りない若手の段階においては、「教える」「訓練する」「アドバイスする」という関わり方を中心に、部下の変化を観察しながら、次の段階のスキルである「考えさせる」「選ばせる」「決めさせる」というプロセスに進んで行くわけですが、一回の説明で「理解する人」もいれば、そうでない人もいます。

中には何度説明しても、同じミスを繰り返したり、違う行動をするなど、一向に成長が見られないように感じる人もいると思います。

こういう部下には、「教える」=「わかるはず」という発想を捨てて、接し方を変え、「教える」をもう少し、細分化する必要があります。

例えば「教える」という事を「説明をした」「理解した」「自分の言葉で説明できるようになった」と言う3つのパートに分解し、必要があればさらにひとつ、ひとつをいくつかに再細分化してみるという事です。

具体的に「理解した」を例に挙げて考えてみますと、

  1. 「何がわかったか?」を説明させて「覚えたか?」どうかを確認
  2. 「では、こういう場合はどうなると思う?」という応用問題を出す事で「理解度」を深める

そうすると「理解」の精度が上がり、次は「自分の言葉で説明できる」という段階に入れるわけです。

さらに、次は「訓練」を

  1. 上司の手本を見た
  2. 上司に見てもらいながら、やってみた
  3. 一人でできた
  4. 複数回できた

等に分解し、確認しながら、進めてゆきます。

それでも、また「訓練」後、ミスやヌケが発生するようであれば、戻って「なぜ?」という問いを立てて「理解」を促進する。

手間がかかって、大変だなと思われるかもしれませんが、こうする事で着実に成長に結び付ける事が出来ますし、後々の事を考えると、無駄な問題が起こりにくくなります。

そして、そしてさらに、大きな副産物が生まれます。

それは、「今手間がかかっている部下」が先輩や上司になった時に「自分がしてもらった事」が後輩にできるようになる事です。

つまり再現性のある教育プロセスが作れるという事。

人によって関わり方や教え方が多少異なっても、部下や後輩に対する育成の仕方をある程度標準化できれば、結果的にそれが組織の生産性向上に繋がります。

今日お伝えした「グラデーション型育成」は育成のプロセスを細分化、再細分化して進める考え方です。

そのためには抽象的な表現を「どういうことか?」と言う視点で分解し、誰もが共通認識できるように言語化する必要があります。

また、この共通言語化については別に機会に改めてお話ししますが、一見遠回りの様に見えても結果として成長スピードは早くなります。

もし、伸び悩んでいる部下が周囲にいるようでしたら、育成、接し方のプロセスを見直してみて下さい。

目先のスピードに目が行く事によって生まれている「無意識の手抜き」が「部下の成長鈍化」に繋がっている事をご理解いただけると嬉しいです。

次回は、リーダーの成長を加速する「リーダーズコミュニティ」についてお話ししたいと思います。